ペリドットとアンバーvol.5【名探偵コナン】【赤井秀一】【安室透】 (ページ39)

今日:9 hit、昨日:32 hit、合計:119,917 hit

取り戻す２ページ39

　『エミリーの遺骨を奪い返すために藤枝と組むわ』
さくらは手話でバーボンに訴える。
「ラスティー！何を言っているんです。相手は国家ぐるみの組織なんですよ」
『だからこそ牽制をして、私たちへは簡単に手が出せないと思わせないと。
いつまでも身を隠しているわけにはいかないわ』

　さくらの言い分も分かる。だが彼女が動く時は決まって嫌な予感しかしない。

　「あなた、また無茶なこと考えているんじゃないでしょうね？
ケガをしているんですよ？そんな体でどうするつもりですか？」
バーボンの脳裏には、病気を利用してラボに潜入しギムレットと対峙した時の事が浮かんだ。

　さくらは目をそらす。今考えている計画を伝えれば、絶対反対されるのは分かっていた。
「図星か…」
さくらの態度を見て、そうつぶやいたバーボンはさくらの肩に手を置く。
「ここから一歩も出しませんよ」
そう低くつぶやいた。

　さくらはバーボンの威圧的は言葉にしゅんとして下を向く。
少しは気持ちが伝わったのかとバーボンが一瞬気を抜いたところを見逃さず、みぞおちに一発拳を入れた。

ドカッ！
「ぐっ！」

　不意をつかれたバーボンが片膝をつく。
「ラスティー？！」
さくらの行動にベルモットが驚いていた。

　スキをついて藤枝と部屋を出ようとするがバーボンに手首を掴まれる。
「ダ、ダメだと言ってるでしょう！」
ゴホゴホと咳をして、腹を押さえながらバーボンが立ち上がった。
立ち上がってラスティーの顔を見た時バーボンは気づく。
彼女の額に大量の汗が浮いていることを。

「ッ！あなた…その汗…。キズの痛み…ひどいんでしょう？」
痛みからか、肩で息をするさくらはバーボンと目を合わさない。
それを見て彼女の手首を握る手に力が入る。
「ラスティー…勝算はあるの？」
突然ベルモットが問いかけた。
さくらはベルモットの顔を真っ直ぐみつめ力強く頷いた。

　「行かせてあげましょう、バーボン」
「ベルモット？！何を言い出すんです！」
バーボンの語気が強くなる。
そんなことは意に介さずベルモットは続ける。

　「この子、言いだしたらきかないし、閉じ込めたって抜け出すに決まってる。
有能な子が勝算はあるって言ってるんだから行かせてあげましょうよ」
ベルモットの視線がラスティーへ向く。

「ただし…、死んではだめよ。ラスティー」
さくらは微笑んで頷いた。
バーボンは納得いかない。だがベルモットに言われては、手を離すより他なかった。