藤枝との対峙1 ページ1
午前6時30分———
さくらは昴にメールを打っていた。
『9:00発成田行きに乗ります。お昼前には成田です。
そのまま近くのホテルに缶詰ですが…。着いたらまた連絡しますね』
「これでよしっと!」
メールを送信して、さくらは最後の荷物をバッグに詰めた。
タクシーで空港に向かう時、エミリーの入院している病院が見えた。
じっと病院を見つめるさくらを見て、安室はそっとさくらの手を握る。
残り少ない彼女の時間が、どうか安らかであるように。
二人で祈った。
午前9時———
ふたりはK国を後にした。
成田に着くと、二人はすぐに最寄りのホテルにチェックインをした。
安室はジンに、成田空港近くのホテル到着の一報をメールで送る。
送信ボタンを押すと小さく息をはいた。
「はぁ〜〜。ホテル住まいも楽じゃないわね」
さくらは荷物を片付けるとベッドダイブした。
「けほっ!けほっ!ごほっ!」
藤枝の隠れ家に潜入した時に、台風の風雨に晒されたせいか少々風邪っぽかった。
K国への潜入でも飛行機やホテルの空調が効きすぎて乾燥するのか、この2日間ずっと喉の調子が悪い。
「あ〜あ、早く秀一さんに会いたいな…」
成田のホテルに着いた事を赤井にメールすると、さくらはウトウトとまどろんでいた。
トントン
部屋のドアがノックされた。
慌ててベッドから飛び起き、ドアを開けると安室が立っていた。
「二人でラウンジに来るようにと連絡が…」
さくらは急いで部屋の中へ戻ると部屋のカギを掴み、安室と共にラウンジへと急いだ。
ラウンジに着くとジンが一人だった。ウォッカが居ないのは珍しい。
「ジン、一人ですか?」
さくらは思わず問いかけた。
「ああ、藤枝を連れてくるのに手こずってな。
明日、ウォッカが藤枝を連れて帰国する。
バーボンの読み通り、サカモトの掴んでいる情報をくれてやると言ったら、大人しく言うことを聞くようになったそうだ」
(なるほど。それを伝えにウォッカを行かせたのか)
安室もジンが一人だったことが不思議だったが、話を聞いて納得した。
「コルン達は当初、暗殺目的で行っていたからね」
さくらが安室に小さく耳打ちした。
「ふん…。キャンティのヤツはギャーギャーわめくばかり。
コルンもぶっきらぼうにしか話さねーから、藤枝と交渉にならなかったんだ」
アイツらは暗殺しか向かねーな。
タバコに火をつけながらジンが愚痴っていた。
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作者名:aki | 作成日時:2019年11月18日 13時