雨の日にこそ笑顔を１ ページ9
時系列：第一章終了後
長野潜入前
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月曜日。大学からの帰り道。
さくらは赤い傘をさし、家路を急いでいた。
９月になって日が短くなったことを感じる。
最近まで明るかったこの時間帯も、今日は雨の
せいもあってかなり薄暗かった。
ザーザーと降り続く雨。
傘を叩く雨粒が、さくらの聴覚を震わせ、
孤独感を与えた。
「早く…早く帰ろ…」
薄暗い中一人ぼっちで聴くこの音は、嫌な記憶を
呼び起こす。自然と早足で歩いていた。
「さくらさん。」
突然呼び止められた。
振り向くとコナンくんがニコニコしながら
さくらを見ていた。
「コナンくん！どうしたの？」
通学路でもない。毛利探偵事務所からも距離が
ある。彼にとって全く関わりのないこんな
場所になぜ？
「さくらさんを待っていたんだよ。
さあ、行こう！」
コナンは小さな手を伸ばすと、さくらの手を
掴んで歩き出した。
「え？どこに行くの？」
訳も分からず、手を引かれるまま歩き出した。
着いたのはさくらのアパートからも近い、
比較的大きな公園。
ボートに乗れる池や、遊園地、噴水などがある。
公園を周回する遊歩道をコナンと歩き続けた。
大きな桜の木の下まで来ると、コナンが
立ち止まった。
「さくらさん…。雨きらいなの？」
突然の質問に面食らった。
「なぜそんなことを？」
「昴さんが言ってたんだ。雨の日は寂しいって。
きっとさくらも同じだって。」
コナンが少し寂しそうにさくらを見上げた。
そんなコナンの顔をみて、さくらはつぶやく。
「雨の日って薄暗いし、雨の音しか聞こえないの。
ザーザーという音にかき消されて、自分が一人
ぼっちになった気分になる。それが思い出したく
無いことまで思い出してしまうの…。」
ジンたちに乗せられたボートの上で聞いた、
爆発の音。暗い海の上で『あの爆発の下に
仲間が居るのに』と泣いたあの日の記憶。
自分だけが助かってしまった罪悪感。
雨の日には決まって思い出す。
何年経っても忘れることが出来なかった。
こらえきれなかった涙が頬を伝う。
雨で濡れた顔。コナンくんに気付かれただろうか？
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aki(プロフ) - コメントありがとうございます！とっても励みになります！嬉しいです♪妄想の続く限り書いていきますので、この後もお楽しみ下さいませ。 (2019年11月30日 15時) (
レス) id: 19a1a08cff (このIDを非表示/違反報告)
かずさ(プロフ) - 本編も番外編もとても面白く、大好きです。毎日更新が楽しみにしています！これからも応援しています！頑張ってください！！ (2019年11月30日 15時) (レス) id: 189adfe0dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：aki | 作成日時：2019年10月21日 13時
