少年探偵団（サプライズ）５ ページ17
「私の傘大きいですから、二人で入っていき
ませんか？」
「え？」
さくらの顔が赤くなった。
「ね？ そうしましょう。」
昴は微笑んで自分の傘を広げると、さくらの
方へ傾けた。
しばらく二人で並んで歩く。さくらはちょっ
ぴり気恥ずかしくて、絶妙な距離感を開けて歩い
ている。
『フッ。照れているのか。』
昴はさくらの考えていることが手に取るように
分かった。
このまま帰れば子どもたちがサプライズを用意して
待っている。嬉しいし楽しみだが、二人っきりに
なれるのはしばらくお預けだ。今この時間は
誰にもジャマされない貴重な時間と言って良い。
そっとさくらの手を取り、指を絡めた。
「たまには外で恋人らしいことをしてもバチは
当たらないでしょう？」
さくらは昴の言葉に、さらに顔を赤くした。
無言ではあったが、絡めた指をぎゅっと握ってくれた
事で、『手を繋いでOK』だと昴は解釈する。気を良く
してさらに体を寄せ、くっついて歩いた。
「こうやって歩けば、独りぼっちだなんて思わない
でしょう？」
「うん…。そうだね。」
ふわりと微笑んで、さくらは昴の腕に頭を寄せた。
「あ！お二人が来たみたいですよ。」
カーテンの隙間から外の様子を覗いていた光彦が、
皆に声を掛けた。
「わ〜〜！相合い傘で帰ってきてます〜ぅ♪」
頬を赤くした光彦が興奮気味に報告する。
「シ〜ッ！！光彦くん！隠れないといけないん
だから！静かに！」
歩美にたしなめられて、光彦は小さくなった。
ガチャガチャ！
玄関のカギが開く音がする。
探偵団と博士は息を詰めてその時を待った。
「ただいま昴さん」
「おかえりなさい」
玄関に入って二人はハグをする。
寒さで冷えた体は、すぐにお互いの体温を感じた。
昴はこのままキスをしてしまいたい衝動に駆られるが、
扉の向こうでは子どもたちが息を潜めてさくらの
登場を待っている。
『ッ！ある意味生殺しだな…』
理性を総動員して、さくらから体を離す。
「さあ、風邪を引かないうちに中へ入りましょう。」
そう言うのがやっとだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 57人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
aki(プロフ) - コメントありがとうございます！とっても励みになります！嬉しいです♪妄想の続く限り書いていきますので、この後もお楽しみ下さいませ。 (2019年11月30日 15時) (
レス) id: 19a1a08cff (このIDを非表示/違反報告)
かずさ(プロフ) - 本編も番外編もとても面白く、大好きです。毎日更新が楽しみにしています！これからも応援しています！頑張ってください！！ (2019年11月30日 15時) (レス) id: 189adfe0dc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：aki | 作成日時：2019年10月21日 13時
