ブライダル・メモリー12 ページ20
「お待たせいたしました。とても美しくなられましたよ」
スタッフの女性が手を引き、りおが店へと入ってくる。
「おお〜!」
「ッ!」
りおの姿を見た二人は、それ以上言葉が出ない。
「ど、どうかな? おかしくない?」
いつもよりしっかりではあるが、ナチュラルで清楚な印象のメイク。アイシャドウは赤井のタキシードと合わせ、エンジが使われている。
さらに唇にも同じカラーが塗られ、グロスで煌めいていた。
キリッとした目元と魅力的なアンバーの瞳。程よく開いた胸元には、ティアラとお揃いのネックレス、耳元にはピアスがキラキラと光っている。
貸衣装屋で試着した時より何倍も美しいりおの姿に、男二人は固まってしまった。
「ね、ねえ……やっぱ、どこか変?」
返事が返ってこないことを「変だ」と勘違いしたりおが、心配そうに訊ねた。
「えっ! あッ……いや、イイ! すごくイイ! きれいだ。とても」
先に返事をしたのはルークだった。お前もなんか言ってやれよ、とルークは赤井を肘でつつく。
「あ……うん……きれい…だ……」
すっかり目を細めることを忘れてしまった昴が、やっとの思いで声を発した。半ば放心状態の相方を見て、ルークが「あちゃ〜」と言って頭を抱えた。
「すみません。コイツ、ちょっと疎いところあって……恋人の美しさに声も出ないみたいで……」
取り繕うようにルークが言うと、スタッフはクスクスと笑い出した。
「お気持ち分かりますわ。元々美形でいらっしゃるのに、ドレスアップしたら、さらに美しくなられて……。こんな方と結婚できるなんて、花婿様は幸せですね」
すっかり度肝を抜かれている昴を横目に、スタッフの女性はフォローするようにほほ笑む。
「それでは私はこれで」とその女性が立ち去るまで、昴はさくらの姿に目を奪われていた。
「おい、シュウ。しっかりしろ。本番はこれからだぞ」
店には昴とルーク、さくらの三人だけになった。
まだぼんやりしている昴に、ルークが喝を入れる。
「あ、ああ。すまない。ちょっと想像以上で心拍数が上がってしまった」
珍しく動揺を見せる姿に、ルークは目を丸くする。
「へぇ〜……意外だな。お前でもそういうことあるんだ」
今まで一度だって見たことが無い、元相棒の照れた顔。ルークは面白くなってクックッと喉を鳴らす。
「余計なお世話だ」と変装を解きながら悪態をつく赤井に、りおがまあまあ、となだめた。
20人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
aki(プロフ) - タロさん» わぁぁぁ!タロさん、ありがとうございます〜!私も書き切った感はあるのですが、時間経ってもやっぱりこの二人の関係良いなぁってなっちゃいます。ポチポチ更新していくので、気長に待ってて下さいね〜♪ (6月17日 23時) (レス) id: 30aa1f0c8d (このIDを非表示/違反報告)
タロ(プロフ) - akiさん、お久しぶりです。こんばんは。ペリアンが完結してから、読み切ったぞという達成感もあったのですが、やはり寂しくて、そんな折りに番外編の更新をしてくださって。本当にakiさんには感謝しかありません!これからも更新楽しみにしています!がんばってください (6月17日 22時) (レス) @page21 id: b51bfb52d6 (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - はちみつさん» はちみつさぁぁぁん!ありがとうございます〜ぅ♪今回は本編のスキマを埋めるお話になってまーす。幸せいっぱいの二人をご堪能下さいませ〜♪ (6月2日 23時) (レス) id: 30aa1f0c8d (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ(プロフ) - こんばんは!!番外編更新嬉しすぎます…!ウキウキるんるんで読んでますっ! (6月2日 23時) (レス) @page10 id: 47bbcb1aa7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:aki | 作成日時:2022年11月27日 13時