ペリドットとアンバーvol.３【名探偵コナン】【赤井秀一】【安室透】 (ページ8)

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あなたの存在を２ページ8

りおはそのまま体重を預ける。

とくとくとくとくとく……

早鐘のような昴の鼓動が聞こえる。
そして目を閉じ、掠れた声で言った。

『いいよ』
「え？」
『私を抱いて？』
「りお？今なんて？」
『抱いてって言ったの。そのかわり、沖矢昴ではなく赤井秀一で』
「本気か？ …後戻りできなくなるぞ…俺たちは…」
『私は本気だよ。決めたの。だから…お願い…』
「…分かった」
上半身を起こし、昴はりおが見ている前で変装を解く。
りおはじっとその様子を見つめていた。

　シャツのボタンを外され、だらしなく肌を晒した沖矢昴が、あっという間に赤井秀一になった。
りおは赤井の右胸に顔を寄せキスをする。
何度も何度も。
「…っ！」
ゾクリと身を震わせ、赤井は危うく声が出そうだった。

　そこはキールに撃たれたところだ。
もちろん空砲だったのだからキズなど一つもないが。
執拗にそこにキスをされ、息が上がる。
もどかしさでどうかなりそうだ。

　「はっ…はぁ…はぁ…。りお…っ！」
赤井はりおを押し倒す。
『赤井秀一がちゃんと生きてるって私に分からせて』
「お前、そのためにこんな…」

　この先治療が進み、心の防御が出来るようになれば、記憶はますます曖昧になるかもしれない。
現にスコッチの死についてはところどころ抜けているようだった。
ただ、彼は死んだと納得をしている。そんな感じに見て取れた。

　スコッチの件のカウンセリングは、赤井秀一に対しても記憶が曖昧になり、死んでいるのか
生きているのか、一瞬分からなくなることがあるらしい。
変装をしていて、沖矢昴の姿をしている時間が長いのも原因かもしれない。
不安なのだ。自分の記憶のどれが本物なのか、わからなくなる瞬間が。

　『だから…こ記憶に残らなくても体に刻みつけて欲しい。
大切な存在となったあなた(赤井秀一)が、ちゃんと私のそばに居る。
そう実感できるように……』

「りお！りお！」

　彼女の本心を知って、赤井は自制が効かなくなった。
りおの服を剥ぎ取ると、彼女の白い肌に何度も吸い付く。
赤い花がいくつも咲いた。

　正直、りおを抱きたいと思ったことは何度もある。
だが恋だの愛だのそんな感情は、敵の中では弱点になる事もある。
だから赤井はその一歩を踏み出せなかった。
しかし今、自分が踏み出せなかった一歩を彼女は踏み出した。