ペリドットとアンバーvol.３【名探偵コナン】【赤井秀一】【安室透】 (ページ49)

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エピローグ１ページ49

サカモト製薬本社ビル火災から約３週間が過ぎた。
現在もニュースや新聞は「サカモト製薬裏で麻薬密造」の見出しで賑わってる。
優良企業と見られていた製薬会社が、裏では麻薬の密造密売をしていたのだ。
世間の関心度は高い。
さらに火災発生時から行方が分からなくなっていたサカモト親子は、山中で頭を打ち抜き無残な遺体となって発見された。
今日のワイドショーはその話題で持ちきりだった。
　
　おそらく組織に消されたのであろう。
火災後、FBIと公安警察が必死で行方を捜したが、残念ながら見つけたのは親子の遺体だった。

　さくらは体の調子もすっかり良くなり、大学の森教授の助手と塾の講師に復帰した。
工藤邸を出て自分のアパートに戻ったが、週末は工藤邸に来ているようだ。
広い屋敷の掃除を手伝ったり、料理をしたり、時には昴と組手をしている。

8月最後の土曜日———

　コナンとさくらが工藤邸の庭に出てきた。
花に水をやるためホースを伸ばす。
水やりの準備をするさくらの姿をコナンはじっと見つめる。
そして火災の日のことを思い出していた。

　本社ビルから帰ってきた二人は体中傷だらけだった。
博士の家で待っていたオレは、帰ってきたふたりのところにすぐ駆けつけた…。
まさかビルの地下で人体実験を行っていたとは驚きだった。

　二人の帽子につけていたカメラでその時の様子を見ていたが、カメラ越しでもエンジェルダストの恐ろしさは伝わった。

　この薬の中毒になった人は、元に戻る見込みはない。
筋力が４倍跳ね上がった体は限界を超えて活動する為、薬が抜けたとしても修復が不可能なほどボロボロ。
脳の神経もズタズタになってしまうからだ。

　さくらさんが少年を撃とうとした時、赤井さんはそれを止めた。
『仕方が無かったとはいえ少年を撃ち殺したとなれば、またトラウマが増えてしまうと思ったんだ』と、後で赤井さんが教えてくれた。
あの緊急時にそこまで考えていたことに驚かされた。
それくらい、さくらさんのことが…。

　火災から５日ほどして科捜研から全ての結果がもたらされた。
エンジェルダストはサカモト製薬の地下２階で生産され、その全てが爆発によって焼失したこと。
爆発はギムレットこと新津昌彦によって仕組まれたものだと断定された。