ペリドットとアンバーvol.３【名探偵コナン】【赤井秀一】【安室透】 (ページ43)

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作戦決行３ページ43

手袋とマスクを付け、機械に残っていた僅かな粉末をチャック付きの小さな袋に入れる。
それをポケットにしまった。
長居は禁物だと、もと来た通気口へジャンプしようとしたとき、背筋にゾクリとしたものを感じた。

　(なに？この感じ…)
ギムレットがラボの個室に入ってきた時と同じ感覚…。
まさか…、まさか…

　「どうした？さくら」
インカムから赤井の声が聞こえた。
「秀一さん…このフロアに誰かいる…」
「何？」
工場は閉鎖されて時間が経っている。従業員も今はいないはずだ。
今日はパーティーで幹部もそちらに行っているはず。

　「それが…人じゃ…ないような…何か…」
さくらの声が震えている。
「人じゃない？どういうことだ？」

はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…

　さくらの呼吸が速い。
「さくら！大丈夫か？人じゃないってどう…」
そこまで言いかけて赤井は何かを悟った。

　「おい、まさか…」
「わからない。だけど…誰かに見られてる。確実に誰かいる」
「……俺も今からそっちに行く」
「え？」
「１階から下の防犯カメラを全て再生に切り替える。
機械室を出て非常階段を使ってそっちに行くから、さくらもそのフロアの非常階段前に待機しろ。
おそらく鍵が掛かっている。開けておいてくれ」
「了解。１階はまだ人がいるわ。気をつけて」
「ああ。わかった」

　赤井は再び機械室に戻り、タブレットをパネル盤とつなぐと１階から下の防犯カメラを再生に切り替える。
そのまま、機械室の出入り口から１階のエントランスの様子を伺った。
機械室を左手に出て、廊下をしばらく行くと非常階段の階段室だ。

　そこまで誰にも会わずに行かなくてはならない。
廊下には部屋が無いため、鉢合わせしたら隠れる場所もない。
ほとんどイチかバチかだ。

そっと機械室から出ると、気配を消して非常階段を目指した。

　階段室のドアが閉まるのと同時に、別の方向から来た社員二人組の声が聞こえた。
ドア越しにしばらく様子を伺うが、どうやら気づかれなかったようだ。
ホッと胸をなでおろし、赤井は地下２階へと急いだ。

　その頃さくらは、工場に侵入した通気口がある部屋から廊下に出た。
そのまま真っ直ぐ行ったところの非常階段の前に待機する。
階段室は赤井の予想通り鍵が掛かっていたのでロックを外しておいた。