結ばれる心１ ページ31
久しぶりの工藤邸。
昴の手を借りて客室まで行く。
「お姫様抱っこでお連れしますのに」
クスクス笑う昴を横目に
「なにげにそれ、恥ずかしいんですよ」とりおが答えた。
「何を今更。意識がない時は私がいつもお姫様抱っこで部屋へ連れて行っているのに」
「ですよね…」
さすがのりおも顔が真っ赤になった。
夕食の頃には自室からリビングまでひとりで歩けるようになっていた。
久しぶりの食事だからと、昴は洋風のリゾットを作ってくれた。
「美味しい！」といって食べるりおの姿に、昴も胸をなでおろす。
またこうして二人で一緒に食事が出来ることが何より嬉しかった。
夜、入浴をして早めにベッドに入ったものの、りおはなかなか寝付けず、工藤邸の図書館で借りた本を読んでいた。
元々読書好きだったので、どんどん読み進める。
コンコン
ドアのノックでふと我に返る。
どうぞと声をかけると、
「まだ起きていたのか」と言いながら上がりの風呂赤井が入ってきた。
「電気が付いているようだったので、消そうかと思い、一応ノックしてみたんだが」
首にタオルをかけ、髪はまだ少し濡れているようだった。
「ああ、ごめんなさい。寝付けなくて書斎から本を借りたんです。そしたら面白くて」
「シャーロック・ホームズか。それはマズイ。寝不足になるぞ」
りおの手にある本をみて赤井が笑う。
近づいてきて手元を覗き込んだ。
「ホームズの冒険…。ファーストチョイスとしては良いな」
「そういえば昴さんもコナンくんもシャーロキアンでしたね。
事件の感想を一言でも言ったら大変なことになりそう！」
ホームズ好きの昴やコナンを思い出してりおは笑う。
「ああ！とくにあのボウヤはまずいぞ。根っからのホームズ好きだからな」
「ふふふ。じゃあ、ホームズを読み始めたことは黙っておきます」
「ははは。それが良い。だが…俺とはおしゃべりしてくれないのかな？」
「？ してるじゃないですか。もうひとりのシャーロキアン？」
「それは昴の方だ」
「昴さんはホームズのセリフまで暗記していましたもんね。
あちらも筋金入りのホームズ好きですね」
ふふふと笑ってりおは赤井の顔を見上げた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 233人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：aki | 作成日時：2019年8月28日 15時
