ペリドットとアンバーvol.３【名探偵コナン】【赤井秀一】【安室透】 (ページ24)

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アンバーの絶望３ページ24

『さくら！さくら！落ち着いて！』
昴が制止する。
だがその声はさくらに届いていないようだ。
さくらの様子に新出も辛い表情を見せる。
泣き叫ぶさくらを見守ることしかできない。
そんな時だった。

『俺はここにいる』
突然さくらの耳に赤井の声が聞こえた。
昴がチョーカーの電源を切って話しかけたのだ。
さくらの動きが止まる。
「ライ…」
さくらはそうつぶやくと体の力が抜ける。
昴はしっかりその体を抱きとめた。

　新出が昴に声をかける。
「やはりあなたは彼女の話の中に登場していたんですね」
昴はさくらを抱きしめたまま黙っていた。

「聞かなかったことにします。事情がおありでしょうから」
「ありがとうございます」
否定も肯定もしないが、聞かなかったことにすると言ってくれたことに感謝を伝えた。

　「さくらさんは、心を許した大切な人の死を何度も目撃してしまったのですね」
新出は険しい顔をして昴に向き直った。
「だから脅かすわけではないのですが……冲矢さん。
あなたは絶対に死んでは行けませんよ。
あなたの死は恐らく、さくらさんの死を意味します」
「ッ！！」
思いがけない言葉に昴は驚く。

「あなたの死は、さくらさんの心を完全に壊してしまう可能性があるのですよ。
大切な人を二度三度と失って、あなたまで失ったら…
迷わず彼女は死を選びます。
心が壊れるというのはそういうことです。
その事を良く肝に銘じておいてくださいね。
どうやらあなたも、危険に身を置く立場の方のようですので…」
新出はボイスレコーダーを片付け、
「あとはお願いします。何かあれば連絡を」とだけ告げて帰っていった。

　自分の命がそのまま相手の命につながる。
FBI捜査官として市民の命を背負い、弾丸の雨の中を奔走したこともある。
そんな時、自分の死は即守るべき市民の死につながる。
そんな経験が無かったワケじゃない。けれど、それが自分の愛する女性だったら…？
考えただけで胸の奥が痛い。
りおはずっと、この痛みを感じ続けていたのだろうか…。

腕の中でりおは静かに眠っていた。