ペリドットとアンバーvol.３【名探偵コナン】【赤井秀一】【安室透】 (ページ16)

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　今回はギムレットが作成した、エンジェルダストの精製レポート、つまりマスターレポートが一体どこにあるのか。
そしてもし見つけた場合はその内容を消去または書き換えをするのが最終的な目的だ。
博士と哀にも話に参加してもらう。

　「秘密の漏洩を恐れてコピーは絶対しないはず」と哀は言う。
「そもそもコピーするつもりなら、とっくにやっているはずよ。
なのに、組織のＰＣからマスターレポートそのものが無くなっているのだから、間違いなくこれ１つしか存在しないわ」
なるほど。ではそのたった一つしかないレポートは一体どこに？

　「ギムレットが自分で隠したか、サカモトケンジが奪ったか。どちらか…ね」
さくらが補足するように言った。
ギムレットが自ら隠したとなれば、本人が死亡しているため探すのは困難を極める。
まずはサカモトケンジが奪った線で調査をする方が良さそうだ。

　もし、彼がレポートを奪ったと仮定するならば…。
大事なものは絶対に手放さない。
彼の近くに必ずあるはずだ。
最近の彼の行動を探り、目星を付ける必要がある。
これには適任がいる。

　「彼…ですね」
昴がさくらを見る。
「ええ」
さくらは微笑んだ。
「たぶん、もう調べていると思いますけどね。
近いうちに連絡が来ると思います。降谷さんから」

　昨日、降谷零には日本警察の威信にかけてサカモト製薬の裏の顔を調べると言っていた。
当然サカモトケンジの行動確認も行われるはずだ。
最低１～２週間は公安の精鋭が彼にピッタリ張り付くだろう。

　さくらは先ほど調べた資料をテーブルに広げる。
サカモト製薬の拠点を調べると、日本と主に東南アジアだ。
近年では急速に力を付け、近々アメリカへの進出も検討されていることを説明した。
「東南アジアで作った麻薬を、ゆくゆくはアメリカで売りさばくというわけか」
昴が資料を見ながらつぶやいた。

　日本には都内の本社ビルと神奈川に支社がある。
自宅を含め、これらのどこかにサカモトケンジ自身が拠点にしている場所があるはずだ。

　そして、エンジェルダストの生産に関わる指示は全て彼が行い、ごく一部の者を除いて生産や品質管理に関わっている者は、自分達が本当は何を作っているのか知らないだろう。
これについては昴も同意見だ。

さくらはため息をつく。

　命を救う薬を作っているという責任の下で関わっている者がいるとしたら…。
やるせない気持ちになった。