ペリドットとアンバーvol.３【名探偵コナン】【赤井秀一】【安室透】 (ページ12)

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ギムレットという男３ページ12

「そう言って、その後誰かに…何かを…はぁ…はぁ…」
さくらは苦しそうに肩で息をする。
「そう、そうだ、ギムレットは…サカモト…サカモトって男の名を呼んでいた…。
例のものをもってこい…サカモト…ケンジ…。
その男に…何かを注射…されて…はぁはぁ…危険を感じ…て…彼の足を払って…
その後どうやって逃げたか…気付いたらベルモットに介抱されて…」

　「もういい！もういいから！！」
昴がさくらを抱きしめる。
さくらは全身汗だくだった。

　「ギムレットの近くにいた《サカモトケンジ》」
コナンが険しい顔で呟く。
「さくらさんが必死に思い出したこの男をぜってぇ逃がさねえ」

その時———

　「サカモト…ケンジ…ですって？！」
哀が目を見開き、驚いた表情をしていた。
「灰原、お前サカモトってヤツを知っているのか？」
「知ってるもなにも。一緒にアポトキシンの研究をしていた仲間よ」
「なんだって？！」
「彼はとても優秀な研究員だったわ。だからいくつかの研究を兼務していたの」
麻薬の研究をしていたのは初耳だけど…。
哀がつぶやいた。

　「そんなに優秀なら、論文発表もしているじゃろうし、サカモトというのは偽名かもしれんな」
博士が肩を落とす。
「それはないわ」
哀はすぐにそれを否定した。

　「彼が研究員を兼務する理由がもうひとつあるの。
彼はサカモト製薬の長男で、未来の社長の椅子が約束されている人物だからよ」
「！！」
哀の言葉を聞いて、全員が固まった。
日本を代表する大手製薬メーカーの跡取り息子が、組織に関係しているという事実に驚愕する。
命を救う薬を作る会社が、殺人兵器を生む薬を作っているというのか…。

　もしそれが事実ならば、エンジェダストのレポートはサカモト製薬のどこかにある…という
可能性もある。
既にギムレットの手を離れ、商品化に向けて着々と進んでいたということだ。

「それならば、三角地帯にある麻薬工場で、サカモト製薬の傘下にある工場を割り出せれば…」
昴の意見にみんなが頷いた。

　昴はコナンに目で合図する。
コナンも気がつき、スマホを取り出した。
哀の前で昴はFBIの仲間に連絡を取るわけにはいかないのだ。
早速ジョディ先生に電話をかける。
いきさつを話し、大至急ミャンマー、タイ、ラオスにある麻薬工場でサカモト製薬の傘下に
ある工場を調べるよう頼んだ。

　「公安の彼にも伝えた方がいいでしょうね」
そう言って今度は昴が安室に電話をかけた。