ペリドットとアンバーvol.３【名探偵コナン】【赤井秀一】【安室透】 (ページ11)

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ギムレットという男２ページ11

ギムレットと初めて会ったのはいつだったか…。
でもその目つきに恐怖を感じたのは覚えている。
当時は倦怠感や頭痛、食欲不振に悩まされていた。
ベルモットに勧められて行ったものの、こちらを舐めるように見るあの男の視線が嫌だった。

　診察をすると言って、ギムレットが近づいて来た。
あの時彼は何か言っていた。
「人の死はお嫌いかい？」
そう言いながら笑っていた。
そうだ、その時初めて発作を起こしたんだ…。

さくらの呼吸が乱れる。

　「さくら？さくら！どうしたんだ！」
会議の最中、突然呼吸を乱したさくらに昴は慌てて近づいた。
「まって、まって昴さん！」
昴を制止したのはさくら本人だった。
「何か思い出せそうなの…」
自分の体をギュッと抱きしめながら、さくらは当時のことを話し始めた。

　「数年前、ベルモットに勧められてラボに治療を受けに行ったわ。
そこで初めてギムレットに会ったの。
彼は目つきが悪く、私が診察室に入ると舐めるように見てきたわ」

黙って聞いていた昴は、眉間にしわを寄せる。

　「診察すると言って触れた手はとても冷たくて。
私に向かってこう言ったの。
『人の死はお嫌いかい？心臓を打ち抜いたヤツを見たそうじゃないか。
血の花が咲く様子を見られたんだろう。俺にも教えてくれよ』」

そこにいた全ての者が息を飲む。

　「それを聞いて、私は初めて発作を起こしたの」
さくらは自分の服をさらに強く握りしめた。
「発作を起こした私を見て
『苦しむお前の姿は美しい。もっと見せてくれ』
そう言って笑っていた」

　コナンは唇を噛み、ギュッと目を閉じた。
さくらはあの時の…表に出せなかった苦しい胸の内を、さらにナイフでえぐられるような感覚を思い出す。涙が溢れていた。
胸を押さえて苦しそうに話すさくらの姿に、みんな成す術無く立ち尽くす。

　「『苦しいか。それならば、すぐにラクにしてやろう。
俺の作ったこの薬ですぐにラクになれる。そして俺がお前に天国を見せてやるよ』」

ギムレットが見せた狂気の顔を思い出し、「チィッ」と昴が舌打ちをした。