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光の中に2 ページ33

RX-7に乗ると、安室がエンジンをかけた。
「この車に乗せてもらうのは初めてだな」
「そうでしたね」
いい年をした大人の男二人。まるで車の試乗にでも行くようだ。
「じゃ、出発しますよ」
RX-7が低いエンジン音を響かせて動き出す。
(いったいどこへ連れて行く気だ?)
不安と期待とで、自然と早く打つ鼓動を感じながら、赤井はジッと前を見据えた。

 車を走らせること二十分ほど。車はとある建物についた。
「病院?」
車から降りた赤井は、正面玄関の前で建物を見上げた。
「ええ。ジョディさんから、あなたがだいぶ無理をしていると聞いてね。少し栄養を補った方が良いと思いまして」
「は?」
そんな事の為に連れ出したのか? 赤井は半ばあきれ顔で安室を見た。
「それなら心配ない。さっき見てもらった通り、食事もちゃんと取れている。こんなところで点滴などされなくても俺は……」
「まあまあ。僕もここに用があるので。付き合ってください」
ニコニコと人の良い笑顔を貼り付けて、安室は「さあどうぞ」と中へ入るよう促す。
自分の車で来なかった事を後悔しつつ、赤井は渋々中へと入った。

 病院に入ってすぐ、エレベーターホールへと連れられた。エレベーターに乗ると安室は十階のボタンを押す。
「十階ということは入院病棟か?」
不思議に思った赤井が安室に問いかけた。
「ええ。人の出入りがない方が良いと思いまして。部屋を取ってあります。そこであなたも栄養を貰うと良いですよ」
「部屋を取るって……病院だろう……?」
ホテルじゃあるまいし。点滴をするだけなのに入院病棟? 俺を入院させる気か?
安室が何を考えているのかさっぱり分からない。赤井は小首を傾げつつ、それ以上何も訊かなかった。

チン…

 特に会話も無いまま目的のフロアに着き、控えめなチャイムが鳴るとドアが開いた。
「こっちです」
安室に案内されるままフロアの廊下を歩く。どうも他の病棟とは雰囲気が違うようだ。
「特別病棟ですからね。政財界のお偉いさんやセレブの方など…。いわゆるお金をたくさん払って入れる特別な個室です」
「ふ〜ん……」
もう何を言われても動じない。点滴でも何でもして、さっさと帰ろう。入院だけはまっぴら御免だ、などと考えながら、赤井は安室の後ろをついていった。

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設定タグ:名探偵コナン , 赤井秀一 , 沖矢昴   
作品ジャンル:アニメ
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aki(プロフ) - はちみつさん» はちみつさん、お久しぶりです♪そしてありがとうございます!思惑通りハラハラして頂いて嬉しいです(笑)ひとまず、完結を目指してラストスパートです〜。今後ともよろしくお願いします♪ (2022年6月5日 17時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ(プロフ) - こんにちは!8章もお疲れ様でした!主人公ちゃんがいない間、わたしもハラハラしながら更新待ってましたっ。これからも楽しみにしてます!ひとまず章の完結お疲れ様です!! (2022年6月5日 16時) (レス) @page50 id: 47bbcb1aa7 (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - あんなさん» あんなさん!お久しぶりです♪楽しんで頂けて嬉しいです〜。赤井さんがどれだけ夢主を愛しているか…って事を書きたくて、このような展開になってしまいましたw泣かせてごめんね、赤井さんって感じですwwwこの後も楽しんで下さいね〜! (2022年5月21日 13時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
あんな - お久しぶりです!毎日、このお話を読むのを楽しみに帰宅しています!夢主、無事で良かった…!赤井さんが泣くところはいつも胸が締め付けられるように痛いです。こちらまでが涙を誘われてしまいました。これからも応援しています! (2022年5月21日 12時) (レス) id: 8be13c14ce (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - ttakedasaki0906さん» そう言って頂けると決心が揺らぐww とりあえず、とても長いお話になってしまったので一旦完結します。きっとまた書きたくなると思うので、その時はまた! 短編のストーリーラインもちょっとずつ書いているので、そちらもお楽しみに! 応援ありがとうございます♪ (2022年5月19日 15時) (レス) id: 9e9b5250f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:aki | 作成日時:2022年4月18日 12時

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