生きていると信じて5 ページ23
終始緊張して言葉を選ぶ降谷の態度に、悪い知らせだと察知した。
返事をしようとして「ひゅ」と喉が鳴る。赤井はもう一度深呼吸をした。
「わかった」
一言だけ答えて電話を切る。
電話を切った赤井の右手は固く握られたまま、小刻みに震えていた。
**
ジョディの運転で赤井は警視庁へとたどり着く。
サングラスと帽子という簡単な変装だったため、裏口に風見が待機し、誰にも見られぬようコッソリと警視庁内へと入る。
小さな会議室に案内されると、公安刑事数名と降谷が待っていた。
「赤井、わざわざ悪いな」
「いや。それより、確認して欲しいものというのは……」
赤井の問いかけに、風見がその後ろで下を向いた。降谷も一瞬黙り込み、小さく息を吐く。
「実は……ついさっき、埠頭から二キロ離れた海上で、女性の遺体が見つかったんだ……」
「‼」
ガタタッ!
「お、おい! 赤井!」
めまいを起こした赤井が、デスクに手を突いた。幸い床に倒れることは無かったが、顔は酷く青ざめている。
「大丈夫か?」
「あ、ああ。すまない。続けてくれ」
風見にイスを差し出され、赤井はそこに腰を下ろす。降谷はさらに言い辛そうに、表情を歪めて続きを話し出した。
「女性の遺体は……その……損傷が激しくて…身元の確認が出来ないらしいんだ」
「ッ!」
続く言葉に赤井は息を飲む。
スンホに羽交い絞めにされたまま海に落ち、彼の自爆に巻き込まれた。それで命を落としたとするならば——体が無事であるはずが無い。
赤井は辛そうに下を向き、目を閉じる。その姿を、降谷もまた悲し気に見つめながら、話を続けた。
「ただ、その女性はペンダントをしていた。遺体を回収した海上保安庁からの報告によると、ペンダントに付いている石は青。
確か、広瀬も青い石のペンダントをしていたはず。
彼女には肉親が居ないから、お前にそのペンダントを確認して欲しいんだ……」
長い沈黙の後に、赤井は「分かった」と小さくつぶやいた。それを聞いて、公安刑事の一人がタブレットを降谷に差し出した。
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aki(プロフ) - はちみつさん» はちみつさん、お久しぶりです♪そしてありがとうございます!思惑通りハラハラして頂いて嬉しいです(笑)ひとまず、完結を目指してラストスパートです〜。今後ともよろしくお願いします♪ (2022年6月5日 17時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ(プロフ) - こんにちは!8章もお疲れ様でした!主人公ちゃんがいない間、わたしもハラハラしながら更新待ってましたっ。これからも楽しみにしてます!ひとまず章の完結お疲れ様です!! (2022年6月5日 16時) (レス) @page50 id: 47bbcb1aa7 (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - あんなさん» あんなさん!お久しぶりです♪楽しんで頂けて嬉しいです〜。赤井さんがどれだけ夢主を愛しているか…って事を書きたくて、このような展開になってしまいましたw泣かせてごめんね、赤井さんって感じですwwwこの後も楽しんで下さいね〜! (2022年5月21日 13時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
あんな - お久しぶりです!毎日、このお話を読むのを楽しみに帰宅しています!夢主、無事で良かった…!赤井さんが泣くところはいつも胸が締め付けられるように痛いです。こちらまでが涙を誘われてしまいました。これからも応援しています! (2022年5月21日 12時) (レス) id: 8be13c14ce (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - ttakedasaki0906さん» そう言って頂けると決心が揺らぐww とりあえず、とても長いお話になってしまったので一旦完結します。きっとまた書きたくなると思うので、その時はまた! 短編のストーリーラインもちょっとずつ書いているので、そちらもお楽しみに! 応援ありがとうございます♪ (2022年5月19日 15時) (レス) id: 9e9b5250f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:aki | 作成日時:2022年4月18日 12時