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生きていると信じて4 ページ22

「冷蔵庫に、あの日りおが作った作り置きのおかずがあったんだ。
そのままにしておくと腐ってしまうから、夕べ食べようと……でも……」
「……でも?」
ぽつり、ぽつりと話す赤井の話を、ジョディは静かに聞いていた。
でも、と言ったまま黙り込んでしまった赤井に、優しく問いかける。

「一人で食べるのがこんなに寂しくて、侘しくて、切ないだなんて……」
赤井は左手で自身の目元を覆う。それ以上の言葉は出てこない。堪えきれなかった涙がポタリと、ポタリと頬を伝って落ちた。
奥歯を噛みしめ、声を押し殺し、赤井はジョディの前で泣いていた。
「シュウ……」
こんなに打ちのめされた赤井を、ジョディは初めて見た。
以前、りおが赤井のことを忘れてしまった時でさえ、人前で涙は見せていない。

 なによりも——
FBIにいる彼は、どんな時でも沈着冷静で鋼のような心を持っていた。
時に組織の工作員《ライ》として
時にFBIきっての《凄腕スナイパー》として
必要とあらば銃のトリガーを躊躇なく引く。感情は心の奥底に隠し、表に出すことはほとんどなかった。

 (本当のシュウは、きっと繊細で誰よりも優しい。それを絶対、人には見せなかっただけ。
ただ一人——さくらを除いて)
家族にすら自身の生存を隠している赤井にとって、彼の本当の顔を知っているのは、りおだけなのかもしれない。
肩を震わせ静かに涙する赤井を見て、ジョディは成す統べなく立ち尽くした。

ブー、ブー、ブー、ブー……

 「「‼」」
突然テーブルの上のスマホが鳴り出した。画面には『安室』の文字。赤井が慌てて電話に出る。
「も、もしもしッ?」
『……ッ…赤井か?』
やや緊張した安室の声が聞こえた。
「何か分かったか?」
赤井は躊躇なく安室に問いかけた。そして相手に分からないように小さく息を吐く。良い知らせでも悪い知らせでも。どちらも受け入れる覚悟を決めるために。
『赤井…今から警視庁に来れるか?』
「警視庁へ?」
『確認して欲しいものがあるんだ』

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設定タグ:名探偵コナン , 赤井秀一 , 沖矢昴   
作品ジャンル:アニメ
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aki(プロフ) - はちみつさん» はちみつさん、お久しぶりです♪そしてありがとうございます!思惑通りハラハラして頂いて嬉しいです(笑)ひとまず、完結を目指してラストスパートです〜。今後ともよろしくお願いします♪ (2022年6月5日 17時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ(プロフ) - こんにちは!8章もお疲れ様でした!主人公ちゃんがいない間、わたしもハラハラしながら更新待ってましたっ。これからも楽しみにしてます!ひとまず章の完結お疲れ様です!! (2022年6月5日 16時) (レス) @page50 id: 47bbcb1aa7 (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - あんなさん» あんなさん!お久しぶりです♪楽しんで頂けて嬉しいです〜。赤井さんがどれだけ夢主を愛しているか…って事を書きたくて、このような展開になってしまいましたw泣かせてごめんね、赤井さんって感じですwwwこの後も楽しんで下さいね〜! (2022年5月21日 13時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
あんな - お久しぶりです!毎日、このお話を読むのを楽しみに帰宅しています!夢主、無事で良かった…!赤井さんが泣くところはいつも胸が締め付けられるように痛いです。こちらまでが涙を誘われてしまいました。これからも応援しています! (2022年5月21日 12時) (レス) id: 8be13c14ce (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - ttakedasaki0906さん» そう言って頂けると決心が揺らぐww とりあえず、とても長いお話になってしまったので一旦完結します。きっとまた書きたくなると思うので、その時はまた! 短編のストーリーラインもちょっとずつ書いているので、そちらもお楽しみに! 応援ありがとうございます♪ (2022年5月19日 15時) (レス) id: 9e9b5250f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:aki | 作成日時:2022年4月18日 12時

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