検索窓
今日:7 hit、昨日:14 hit、合計:11,859 hit

仲間に迫る影5 ページ17

何の関係もない、大学の仲間が傷つけられるわけにはいかない。
しかし相手がいくらオドゥムの工作員であろうと、彼らも人間だ。組織の者によって傷つけられ命まで奪われる——。
自分の警察官としての立場と、信念と、それでもどうしようもない現実。
自分はいったい何のために戦っているのか。全てを見失いそうになる。
真っ暗闇に突き落とされるような、そんな恐怖がりおを襲った。

 「お前の気持ちは痛いほどわかる。だが今は一般人の安全が最優先。
俺たちは俺たちの責任を果たす。それだけだ」
冷たいようだが、昴(赤井)なりの精一杯の言葉だった。
『正義』を貫くためには誰かの犠牲を容認しなければならない時もある。『全てを守る』など、キレイごとに過ぎない。時には優先順位を付け、場合によっては切り捨てる——。
いくつもの修羅場をくぐった者しか分からない、辛く悲しい現実だった。
「うん…そうだね……」
りおは目を閉じ、数回うなずいた。
「俺がそばにいる。それしか出来ないが……」
昴はりおの肩を抱き、頬を寄せた。
「あなたがそばに居るだけで……それだけで十分」
りおもまた昴に抱きつく。
二人は互いの体温を感じながら、いつまでも抱き合っていた。



***


 「来たわ。ラスティーからの返信」
スマホを手にしたベルモットがジンに声をかける。
「チッ! 東都大学か……マズイな」
工作員の顔写真を確認したジンが舌打ちをした。
「アニキ、どうするんですかい?」
珍しく焦りを見せるジンに、ウォッカが心配そうに訊ねた。
「オドゥムの工作員は追い詰めるとすぐ自爆しやがる。
東都大でそんな事をされたら、またラムのヤツがうるせぇだろ。大学の外で銃弾一発ブチ込んで黙らせた方が早い」
ジンはスマホの画面に視線を落とし、メールアプリを起動させた。

 「一人ずつだと逃げられる可能性がある。
コルンとキャンティに連絡して、三人一気にカタをつけさせる。
但し……ソレで掃討作戦がパァになるのも御免だ。内偵三人の暗殺は掃討作戦の直前。
リュ・スンホが『内偵死亡』の報告を受けるのは、あの世ってことだ」
なるほど、と表情を明るくしたウォッカを見て、ジンもニヤリと口角を上げた。

戦闘開始1→←仲間に迫る影4



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.1/10 (10 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
26人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 赤井秀一 , 沖矢昴   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:aki | 作成日時:2022年2月27日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。