スナイパーの影〜狙撃3 ページ20
その日の夕方——
安室のスマホが震えた。
ちょうどポアロのシフトが終わり、RX-7に乗り込もうと思ったところだった。
安室はポケットからスマホを取り出す。車に乗り込み、着信をタップした。
「はい」
『トール(透)? 俺だ。急ぎの要件がある。今大丈夫か?』
電話の相手は情報屋のルークだった。
「ええ。大丈夫です。で、急ぎの要件とは?」
安室はピリッとした緊張感をにじませ、問いかけた。
『先程アメリカの俺の仲間から連絡が来た。
アロン・モーリスが日本時間の今朝、アメリカを出国したようだ。
行き先は日本。どうやら動き出したぞ』
「なにッ!?」
ルークもわずかに緊張しているようだったが、それを逆に楽しむかのように声を弾ませる。
『到着は今夜。おそらくジンと接触する』
「ああ。ジンとアロンが何をするつもりなのか…それを早く突き止めなければ…」
安室はギリッと奥歯を噛みしめる。
組織は何か大きな事を始めようとしている。手遅れになる前に何とかしないと…。
その為の公安警察なのだから。
安室のこめかみから汗が流れる。珍しくわずかな焦りを感じていた。
『トール。今はまだ報告出来る段階ではないが…アロンには秘密がある。
アロンとジンが何を企んでいるのかも含めて俺も探っているから、確定し次第全て君にも報告する。
まずはアロンの潜伏先だけでも公安で突き止められるか?』
ここまで来て焦りは禁物だ。
ルークは安室のプライドを傷つけぬよう、互いの役割分担をやんわりと提示した。
「ええ。大丈夫です。さすが……何度も死線を潜り抜けた元暗殺者であり元FBI。
お陰で冷静になれました」
ルークの意図を正しく読み取った安室の言葉に『元元って言うなよ〜』とルークはいつもの軽口で返した。
そんな砕けた会話も、彼なりに自分(安室)の緊張を解きほぐしてくれているのだろう。
「あなたにはいつも助けられる」
安室はフッと笑って礼を言った。
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aki(プロフ) - iwaさん» iwaさん、メッセージありがとうございます♪大好きって言ってくださる方がいるだけで、すっごく嬉しいです。前は一喜一憂してましたけど、今はただ、好きな小説を書いて、喜んでくださる方がいて、それだけで幸せです。ご期待に添えるよう、これからも精進します! (2022年4月22日 19時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
iwa(プロフ) - 初めまして。星が少ないようですが私は大好きです。色など気にせずに!楽しませていただいてます! (2022年4月22日 16時) (レス) @page50 id: 6d6a6077d0 (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - はちみつさん» あけましておめでとうございます♪︎はちみつさん、お久しぶりです〜!コメント嬉しいです〜〜!今年もただのラブではない、唯一無二の二人を書いていきますよ〜。よろしくお願いします♪︎ (2022年1月1日 14時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ(プロフ) - こんにちは!そして、あけましておめでとうございます!毎日楽しく読ませていただいています!夢主ちゃんと赤井さんの信頼関係がたまりません…!今年もよろしくお願いします! (2022年1月1日 13時) (レス) @page43 id: 47bbcb1aa7 (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - あんなさん» あんなさん、ありがとうございます♪最近は閲覧数も減っているのでコメント頂けると本当に嬉しいです〜!長いお話で読むの大変ですよね。でもちゃんと最後まで形にしますので、もうしばらくお付き合いくださいね。良い年をお迎えください。 (2021年12月31日 19時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:aki | 作成日時:2021年11月20日 12時