検索窓
今日:1 hit、昨日:69 hit、合計:268,072 hit

ラボ潜入3 ページ36

安室とはスマホの画面で筆談をした。

 「全て予定通り。ただベルモットからギムレットに気をつけろと」
さくらは頷く。
『例の物は持ってきてくれました?』
「もちろん、全て揃っています」
『ありがとう。でも今夜は動かない。ラボの動きを確認するわ』
今度は安室が頷く。
「頭痛はどうですか?」
『だいぶ良いです。ここの頭痛薬ホント良く効くんですよ。
前にも何度か処方してもらっているんです』

 嬉々として答えるさくらに、安室は「ところで…」と切り出した。
「以前ギムレットに何かされそうになったと…。一体何を?」
スマホの画面に打ち込んだ。さくらはちょっと困った顔をした。

 『薬を打たれたんです』
「?!!」
さくらの返答に、安室は声が出そうになって口を押さえる。
「薬ってまさか」
『そのまさかです』
困ったような笑いを見せて、さくらは続ける。

 『性的なそれを目的に。まだ開発途中のエンジェルダストでした。
とは言っても当時はまだ凶暴性は無く、気分を良くするだけ。
もちろん私に使うつもりだったから、だいぶ弱く作り変えていたようですけど』
衝撃の発言に安室は声も出ない。

 『治療と偽って打たれたの。でもさすがにすぐ分かりますよ。薬が効く前に逃げたの。
ベルモットが介抱してくれたわ。弱いといっても麻薬は麻薬。
完全に抜けるのに3日かかりました(笑)』
「(笑)じゃないだろう! 笑えないよ!」
『もちろんベルモットからジンにバレて、次やったら頭に風穴開けるって怒られみたい。
今思えばエンジェルダストの開発途中だったから、殺されなかったのかも』
「な、なるほどね」
本当にマッドサイエンティストだったんだなと、納得してしまった。


 『そろそろ始めますか』
「ああ、気をつけて」
そうスマホで言葉を交わした後、安室はベッドに人が寝ているように毛布を使って細工する。
さくらは監視カメラがないことを最終確認して、通気口を静かに開けた。
人一人やっと入れるくらいの所に、華奢なさくらはするりと身を滑らす。
通気口を伝い、メインコンピューターのある部屋へ向かう。
普通に通路を通って行くには、何台もの監視カメラの前を通り抜けなくてはならない。
それはあまりにもハイリスクだった。
普通に考えて通気口は人が入る余地など無い。
ただ最初だけ上手く通れれば中は意外と広い。
このことを知っている人は案外少ない。
人など入れない、通れないという概念がある限り絶対気付かれない盲点なのだ。

ラボ潜入4→←ラボ潜入2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (94 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
218人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 赤井秀一 , 安室透   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

aki(プロフ) - コメントありがとうございます。そうですね。つらい場面が多いですね。その分闇を抜けたときの描写を大切にしてます。上手く伝わるか心配ですが…。明るい話も書きたくなって、実は番外編も近々アップする予定です。そちらもお楽しみに。 (2019年9月11日 19時) (レス) id: 19a1a08cff (このIDを非表示/違反報告)
iwa(プロフ) - 想像以上に重いのですが引き込まれます。赤井さんが好きで本当にこのお話に出逢えて良かった。 (2019年9月11日 19時) (レス) id: d46b647962 (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - ありがとうございます!凄く嬉しいです。この後も一波乱も二波乱もありますが、最後までお付き合い頂けると嬉しいです。 (2019年8月25日 15時) (レス) id: 19a1a08cff (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年8月25日 12時) (レス) id: 63b42929fa (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - 失われた声4から、赤井が本名で呼ぶようになりますが、基本二人きりの時だけです。シーンの中で本名と偽名が混在してしまったので、修正しました。ご承知おき下さい。申し訳ありません。 (2019年8月21日 13時) (レス) id: 19a1a08cff (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:aki | 作成日時:2019年8月5日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。