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支え合う者たち7 ページ33

塀に囲まれた工藤邸の庭は外からは見えない。
それなりに広さもあるので、キャッチボールくらいなら余裕でできる。
コナンとさくらが庭に到着すると、昴もそこにいた。
上着を脱いで、軽く体をほぐしている。

 (一体何が始まるんだ?)
不安げに二人を見るコナンに、さくらはにっこり笑いかけた。
『まあ、見ててね』
と手話で伝えると、昴のもとへ駆けていく。
ふたりは一定の距離で向かい、軽くお辞儀をした。


 顔を上げたさくらがいきなり蹴りを仕掛けた。
すんでのところで昴が避ける。
間髪入れずに反対の足からも回し蹴りを仕掛けるが、ジークンドーの手業で軽く流される。
その流れで昴の拳がさくらを狙うが、素早く体制を低くして避けた。
体制が低くなったさくらに昴は蹴りを入れるが、さくらは昴の軸足に蹴りを入れて彼の体制を崩し、それをギリギリのところでかわす。
空振りをした昴の足が今度は軸足となり、後ろ蹴りを仕掛けるが、すぐに横に飛んで避けた。
さくらと昴の間に距離ができる。


 二人の動きがあまりに速く、流れるように動くので、コナンはぽかーんと口を開いたまま固まってしまう。

 その後もふたりは組手を続け、昴の拳がさくらの顔の前でピタッ! と止まったところで二人の動きが完全に止まった。

 『あ〜あ、また負けちゃった』
さくらはつまらなそうに手話で伝える。
「いやあ、その前にあなたの左の蹴りが本当に入っていたら肋の2本はやられていましたよ。寸止めしてもらって良かったです」
ニコニコしながら昴は嬉しそうに話す。
(この二人…夫婦になったら夫婦喧嘩ちょ〜怖ぇ…)
コナンは半目になった。

『どうだった?』
さくらは笑顔でコナンに近づいた。
「意識を失っていない限り、さくらに勝てる輩はそうそういないですよ」
昴も笑顔だ。
『これでコナンくんの心配はひとつ減ったでしょ』
暗い顔をしていたコナンを安心させるように、さくらは手話で語りかける。

 「きっと無事に任務を終えるために二人で考えて準備したんだな…」
コナンは遠巻きに二人を見つめて思った。

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設定タグ:名探偵コナン , 赤井秀一 , 安室透   
作品ジャンル:アニメ
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aki(プロフ) - コメントありがとうございます。そうですね。つらい場面が多いですね。その分闇を抜けたときの描写を大切にしてます。上手く伝わるか心配ですが…。明るい話も書きたくなって、実は番外編も近々アップする予定です。そちらもお楽しみに。 (2019年9月11日 19時) (レス) id: 19a1a08cff (このIDを非表示/違反報告)
iwa(プロフ) - 想像以上に重いのですが引き込まれます。赤井さんが好きで本当にこのお話に出逢えて良かった。 (2019年9月11日 19時) (レス) id: d46b647962 (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - ありがとうございます!凄く嬉しいです。この後も一波乱も二波乱もありますが、最後までお付き合い頂けると嬉しいです。 (2019年8月25日 15時) (レス) id: 19a1a08cff (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年8月25日 12時) (レス) id: 63b42929fa (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - 失われた声4から、赤井が本名で呼ぶようになりますが、基本二人きりの時だけです。シーンの中で本名と偽名が混在してしまったので、修正しました。ご承知おき下さい。申し訳ありません。 (2019年8月21日 13時) (レス) id: 19a1a08cff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:aki | 作成日時:2019年8月5日 13時

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