明かされた真実１ ページ18
ポアロを出た安室は一人公園のベンチにいた。
星川さくらが公安のNOCであり、スコッチの想い人だったことを知ったあの日から、安室は自分の気持ちをどう処理して良いのか分からなくなっていた。
遠い昔、親友を取られた気がしてその姿すら拒否していた女に、今頃心惹かれて。
しかもその女は、親友の死を未だにトラウマとして抱えて苦しんでいる。
なのに…今その女を支えているのが、親友を死に追いやった張本人。
何をどう整理をつければ良いのか全く分からない。
さくらに、いや広瀬りおに直接会って話がしたかった。
新出先生から時々連絡をもらっていて、彼女の体調は一進一退。
PTSDの治療はあまり進んでいないと聞いた。
そうは言っても、風邪や発作からくる食欲不振の症状は軽減しつつあり、体の方は回復にむかっているという。
ならば、彼女を呼び出して二人で話ができないだろうか？
どうせ彼女のスマホはヤツが掌握しているだろうが…。
試しにメールを送ってみた。
『心配しています。話がしたい。どこか出会えませんか？』と。
夕方、博士と哀がお見舞いがてらお茶をしに工藤邸に来ている時だった。
珍しくさくらのスマホにメールの着信があった。
さくらは午後一の治療の後だったのでソファーに体を預け、うつらうつらしていて
メールには気付かない。
博士や哀のいる前で、あからさまにさくらのスマホを確認するわけにも行かず、昴は
無視を決め込んでいると、不意に哀に声をかけられた。
「さくらさんのスマホ、確認しなくていいの？」
「そんな無粋な真似出来ませんよ」
「どーだか。私たちが居なければ確認していたくせに。良いのよ気にしなくて。
今彼女にメールをしてくるのは彼女のホントの上司か、組織の人間かでしょ。
そのどちらもあなたが知っていたほうが良いんじゃない？」
この娘さんには敵わないな。と両手を広げておどけてみせる。
「それなら遠慮なく」
そう言って昴はスマホを手に取りメールの受信ボックスを開ける。
送り主はバーボンだった。
新出先生が連絡を取り合っていると言っていた。
おそらく彼はさくらの正体に行き着いたのだろう。
彼自身も混乱しているはずだ。
だが今彼女がバーボンに会うのは得策ではない。
治療は一進一退。それでもようやく食欲不振からも脱しつつある。
今、彼の混乱した感情をストレートにさくらにぶつけられては、また逆戻りしてしまう可能性もある。
なんとしても避けねば。
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aki(プロフ) - コメントありがとうございます。そうですね。つらい場面が多いですね。その分闇を抜けたときの描写を大切にしてます。上手く伝わるか心配ですが…。明るい話も書きたくなって、実は番外編も近々アップする予定です。そちらもお楽しみに。 (2019年9月11日 19時) (
レス) id: 19a1a08cff (このIDを非表示/違反報告)
iwa(プロフ) - 想像以上に重いのですが引き込まれます。赤井さんが好きで本当にこのお話に出逢えて良かった。 (2019年9月11日 19時) (レス) id: d46b647962 (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - ありがとうございます！凄く嬉しいです。この後も一波乱も二波乱もありますが、最後までお付き合い頂けると嬉しいです。 (2019年8月25日 15時) (レス) id: 19a1a08cff (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年8月25日 12時) (レス) id: 63b42929fa (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - 失われた声４から、赤井が本名で呼ぶようになりますが、基本二人きりの時だけです。シーンの中で本名と偽名が混在してしまったので、修正しました。ご承知おき下さい。申し訳ありません。 (2019年8月21日 13時) (レス) id: 19a1a08cff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：aki | 作成日時：2019年8月5日 13時
