ペリドットの愛情８ ページ12
「ありがとうございました。おかげでさっぱりしました。無理をお願いして良かった」
さくらが礼を言うと、
「こちらはヒヤヒヤしっぱなしでしたけどね」といたずらっぽく笑われた。
「水分を取りましょう」
昴はハーブティーを出してくれた。
「水やポカリばかりでは飽きるでしょ。お粥の時みたいに」
ああ、確かに。分かっていらっしゃる。
二人でハーブティーを飲んでいると、
「そういえば」ティーカップを置いて昴が訊ねた。
「今日は午後新出先生が往診に来られます。
体調が許せば、PTSDの治療を受けるのですか？」
「もちろんです」
「もう少し体調が良くなってからでも…」
「それを待っていたら…間に合いません。あんな物が世に出る前に…」
やはり言い出したら聞かないな。
昴は小さくため息をついた。
午後になり、新出先生が往診に来てくれた。
丁寧に診察をしてもらう。
抗生剤が効いて肺炎は免れたようだった。食欲もわずかではあるが出てきている。
いい傾向ですねと褒めてもらった。
それでも食べられる量が少ないので、今日も点滴をしてもらうことになった。
「それで」
先生は点滴の処置をしながらさくらに問いかける。
「PTSDの治療は今日やりますか？」
「はい。やります」
「決心は変わらないようですね」
「もちろんです」
「分かりました。準備します。沖矢さん、お手伝いをお願いします」
点滴の処置が済むと、先生は昴と一緒にリビングを出て行った。
リビングの外の廊下で二人は話をした。
「先日もお話しましたが、これからやるのは『認知行動療法』といって、彼女がトラウマに
なった出来事を頭の中で再現していきます。
発作を起こすかもしれません。
彼女が体験した出来事を聞くことで、あなた自身もショックを受けることがあるかもしれない。
それを全て受け入れる覚悟はありますか？」
「もちろんです」
昴が即答すると、先生は「分かりました。準備しましょう」といって車へと急いだ。
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aki(プロフ) - コメントありがとうございます。そうですね。つらい場面が多いですね。その分闇を抜けたときの描写を大切にしてます。上手く伝わるか心配ですが…。明るい話も書きたくなって、実は番外編も近々アップする予定です。そちらもお楽しみに。 (2019年9月11日 19時) (
レス) id: 19a1a08cff (このIDを非表示/違反報告)
iwa(プロフ) - 想像以上に重いのですが引き込まれます。赤井さんが好きで本当にこのお話に出逢えて良かった。 (2019年9月11日 19時) (レス) id: d46b647962 (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - ありがとうございます！凄く嬉しいです。この後も一波乱も二波乱もありますが、最後までお付き合い頂けると嬉しいです。 (2019年8月25日 15時) (レス) id: 19a1a08cff (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年8月25日 12時) (レス) id: 63b42929fa (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - 失われた声４から、赤井が本名で呼ぶようになりますが、基本二人きりの時だけです。シーンの中で本名と偽名が混在してしまったので、修正しました。ご承知おき下さい。申し訳ありません。 (2019年8月21日 13時) (レス) id: 19a1a08cff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：aki | 作成日時：2019年8月5日 13時
