検索窓
今日:23 hit、昨日:3 hit、合計:268,025 hit

ペリドットの愛情7 ページ11

 
 「今お風呂の用意をしています」
「はい」
「良いですか?入浴中私は脱衣所にいます。
何かあれば声をかけてください。
上がる時は声をかけて頂ければ脱衣所から出てドアの前にいます」
「はい」
「それから何かあれば、あなたが裸だろうが下着姿だろうが遠慮なくドアを開けます。
良いですね」
「はい。そうならないように気をつけます…」
「よろしい。それではお入りください」
「…はい…」

 哀が先日用意してくれた着替えを持ち、さくらは脱衣所に入る。
脱衣所のドアの前で昴さんは待機だ。
服を脱ぎ、浴室のドアを締切る直前に「良いですよ」と、ドアに向かって声をかけた。
浴室のドアを閉めると、じきに脱衣所のドアが開く音がした。


 体を流し、湯船に浸かる。昼間からお昼なんて贅沢だ。
曇りガラスの向こうに昴がいると思うと落ち着かないが。
体力がないので、長湯は禁物だ。
髪も体も洗って、再び湯船に浸かる。
体が温まったところで脱衣所にいる昴に声をかける。

「あがります」
「分かりました。気分は悪くないですか?」
「大丈夫です」

 一言二言やりとりをして、脱衣所のドアが開き再び閉まる音がした。
浴室のドアを開けるとバスタオルが用意してあった。
髪や体の水分を拭き、着替えを整えていく。
柔らかい生地のワイドパンツとTシャツを着る。
ちょっと体が辛い。
入浴だけでこんなに疲れるのか…。
着替えが終わったところで、ドン! 壁に背中を預けた。

 その音で脱衣所のドアが勢いよく開く。
「大丈夫かッ?」
「大丈夫。ちょっと疲れただけ」
大きく息を吐き、昴の顔を見上げた。

 「髪…よく拭けていませんね」
脱衣所にあるスツールに腰掛けるよう促し、昴はバスタオルを手にすると丁寧にさくらの髪を拭く。
「乾かしますね」
今度はドライヤーを手に取り、乾かしてくれた。
「さ、出来ましたよ。立てますか?」
「大丈夫だと思いますが、手を貸してもらっても良いですか?」
「もちろん」
昴の手を借りてスツールから立ち上がり、リビングに向かう。
「何から何までスミマセン」
「謝らないでと言ったでしょう。頼られると男は喜びます」
そんな軽口を聞きながら、ソファーに座らされた。

ペリドットの愛情8→←ペリドットの愛情6



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (94 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
218人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 赤井秀一 , 安室透   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

aki(プロフ) - コメントありがとうございます。そうですね。つらい場面が多いですね。その分闇を抜けたときの描写を大切にしてます。上手く伝わるか心配ですが…。明るい話も書きたくなって、実は番外編も近々アップする予定です。そちらもお楽しみに。 (2019年9月11日 19時) (レス) id: 19a1a08cff (このIDを非表示/違反報告)
iwa(プロフ) - 想像以上に重いのですが引き込まれます。赤井さんが好きで本当にこのお話に出逢えて良かった。 (2019年9月11日 19時) (レス) id: d46b647962 (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - ありがとうございます!凄く嬉しいです。この後も一波乱も二波乱もありますが、最後までお付き合い頂けると嬉しいです。 (2019年8月25日 15時) (レス) id: 19a1a08cff (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年8月25日 12時) (レス) id: 63b42929fa (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - 失われた声4から、赤井が本名で呼ぶようになりますが、基本二人きりの時だけです。シーンの中で本名と偽名が混在してしまったので、修正しました。ご承知おき下さい。申し訳ありません。 (2019年8月21日 13時) (レス) id: 19a1a08cff (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:aki | 作成日時:2019年8月5日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。