ペリドットとアンバーvol.14【名探偵コナン】【赤井秀一】【沖矢昴】【安室透】

女神アウロラ３ ページ41

　「ん……」
首元に痛みを感じながら、さくらが目を覚ます。
ボンヤリする頭を動かして周りを見回すと、アンティークの家具や絵画が確認できた。
(私……確か…大学にいた…はず…)
体のだるさを感じながら、さくらは必死に記憶を辿った。

「お目覚めですか？ 女神アウロラ」
「？」

　さくらは声のする方へ顔を向けた。
目がかすむ。女性がいるのは確認できるが、顔まではよく見えなかった。
何度か瞬きをすると、ようやくその表情が見えるようになる。
「あなた…久瑠美…さん？」
「ええ。先ほどは乱暴な事をして申し訳ありません。
毛利探偵の調査書には格闘技に精通しているとありましたし、先日の公園ではかなりの動きをされていたと…。
お互いのダメージを最小限にする為にはこれしか方法が無かったのです」

　久瑠美は深々と頭を下げ、先ほどの無礼を詫びた。



　「あの…装置…は？」
「あなた様さえ手に入れば、起動させるつもりはありません。
もっとも、装置は本物ですが中に入っている薬品は無害です。明日にでも回収してきます」
「そう……良かった…」
「やはり…お優しい方なのですね」
さくらのホッとした顔を見て、久瑠美は微笑んだ。

　
　「ところで……体がすごく…だるい……何かした？」
思うように体が動かない。手刀を受けたくらいでこんな事にはならないはずだ。
さくらは久瑠美に問いかけた。

　「そろそろお目覚めになりそうだったので、薬を打ちました。
あなた様の精神が完全に女神アウロラになるまで、自由を奪うためです」
「な？！」
久瑠美の言葉にさくらは凍り付く。
「精神…って……まさか…」

　「ええ。そのまさかです」
聞きなれない男性の声が聞こえた。
「司祭様！」
久瑠美は声を上げるとその場にひざまずく。

　「ようこそ女神アウロラ。私たちはあなたを待っていた」
アンティークの刺繍が入った宗教服を着た男が部屋に入ってきた。


　「お久しぶりです…。といってもあなたは覚えていないでしょうが…。
先日街であなたとぶつかった時、あなたの瞳を見て驚きました。
とろけるようなはちみつ色の瞳。カラコンとは全く違う、美しい色だ。
そしてそれに勝るとも劣らない美しい容姿。
まさに我々が待ち望んだ女神…」

　優しそうな笑顔を向け、嬉しそうに語る司祭と呼ばれた男。
その手にはトレーがあり、上には聖水の入ったガラスの水差しが載せられている。
不安げにそれを見つめるさくらに、司祭はゆっくり近づいた。

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