セーフハウスにて４ ページ4
「擦り傷も大したこと無いし、その他の圧迫痕と打撲痕、それからキスマークも色が変わってきたわね。じきに薄くなるでしょう」
「ありがとう、ベルモット」
礼を言って、ベルモットから借りたシャツを羽織る。
「ところで……。あの時どうして私がジンの部屋にいると分かったの？」
ベルモットがあの場に飛び込んでこなければ、おそらくは…。
ジンの部屋へ一人で行ったのは迂闊だったと反省している。
だがあの時は、自分をつけ狙うヤツを特定することで頭がいっぱいだった。
「ああ、バーボンから連絡来たのよ。『ラスティーからジンに会いに行くって連絡あったが、自分は今そっちに向かえない』ってね」
「バーボンが…」
おそらくバーボンに連絡をしたのは赤井だ。
赤井が機転を利かせたおかげで、最悪の事態は免れた。
(きっと秀一さん心配しているだろうな…。
安室さんからも《ベルモットに近づきすぎるな》ってメール来たし…そろそろ帰るか…)
腕の包帯をさすりながら、ラスティーは顔を上げる。
「ベルモット……熱も下がったし、背中の痛みも引いたから…私、そろそろ自宅に帰ろうと思うの」
「ふふ。そう言い出すだろうと思ったわ」
ベルモットは救急箱を所定の位置に戻しながら答えた。
「でも、まだつけ狙っているヤツが何者か分からないんでしょう？ 今自宅に帰ったらまた狙われるんじゃないの？」
再びラスティーの元へと戻ると、ベルモットは向かいのソファーに座る。
「うん…。でもこの数日ヤツは私の所在を確認できていない。
これで大学に姿を出せば、おそらく次の一手を講じて来るわ。
そろそろ私の前に姿を現すかもしれない…」
アンバーの瞳に強い光が戻る。
「相変わらずハードな方法ね…。まあ、あなたらしいと言えばらしいんだけど…」
ベルモットはため息をつく。こうなると何を言ってもこちらの忠告には耳を貸さないだろう。
伊達に何年もラスティーのそばに居るわけでは無い。
「分かったわ。あなたの好きにすればいい。
どうせバーボンも、何だかんだ言いながらあなたの身の回りには気を配っているだろうし…。
私はジンの方に探りを入れてみるわ。
彼の事だから情報を掴んでも、今回の事で報告を怠る可能性もあるから」
「うん。ありがとうベルモット」
心配そうな顔をするベルモットを見て、ラスティーは優しい笑顔でそう返事をした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 77人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
aki(プロフ) - レムさん» ありがとうございます！レムさんも色々な方のお話をたくさん読んで研究すれば、きっと書けますよ。 (2021年4月4日 17時) (
レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
レム - akiさん» とても作品上手です・・ (2021年4月4日 16時) (レス) id: 59a18b3b65 (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - はちみつさん» はちみつさん！いつもありがとうございます♪続編はちょっとドキドキがあるかも…です(笑)私も気合い入れて書きました。お楽しみに〜！ (2021年3月17日 16時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - レムさん» 劇場版をどう書くかは色々方法が有ると思います。私は純黒のその後ーという形で使いましたし、他の方のを拝読すると、劇場版の物語に上手くご自身のキャラを織り込んだ小説も有りました。是非上手な方の小説を読んで手法を真似てみるのも良いと思いますよ。 (2021年3月17日 16時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ(プロフ) - いつもワクワクするお話ありがとうございます！！続編も変わらず応援しています！！ (2021年3月17日 13時) (レス) id: 47bbcb1aa7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：aki | 作成日時：2021年1月27日 10時
