博士の発明品5 ページ23
(ナイフや銃ではなく警棒って事は…殺す気は無い…気絶させて拉致するつもりね!)
さくらは眉を寄せる。
ジャリ…
男が一歩近づく。
同時にアンバーの瞳が鋭く光った。
男が警棒を振り上げた瞬間を狙って、さくらは素早く懐に飛び込んだ。
***
ブーッブーッブーッ
昴のスマホが振動する。
「ッ! りおの心拍が一気に上がってる?! 何かあったのか?!」
昴の顔に緊張が走る。スマホの画面はマップが表示され、赤い点が点滅していた。
「場所は……すぐ近くだ!」
キャビネットに置いてあった銃をホルダーに差し込むと、昴は急いで工藤邸を出た。
***
ヒュゥッ!
警棒が空を切る。
ギリギリのところでさくらが避けた。
「はぁ…はぁ…はぁ…痛ッ…」
先ほど殴られた左腕がズキズキと痛む。
相手にもさくらの蹴りや手刀が何発か決まっているが、予想以上に筋肉質でとても効いているようには見えない。
(相当訓練を積んでいるわ。
その上…何なの? あの鋼のような筋肉…。
私の力で攻撃を入れてもびくともしないなんて…。
軍人でもここまで鍛えている人を見た事無いわ…)
尚も警棒を振りかざし、男は連続攻撃を仕掛けてくる。
さくらはそれを素早く避けた。が、それもそろそろ限界だ。
長野の時と比べればだいぶマシになったとはいえ、まだ体力は完全ではない。
ましてやかなりの体格差。明らかに不利だ。
「おのれ…ちょこまかと逃げやがって…」
イラついた男がさらに力を込め、さくらに襲い掛かる。
さくらがそれを避けようと足に力を入れた瞬間、カクンと膝の力が抜けた。
(あ……だめだ…避けきれない…)
片膝をつき、衝撃に耐えようと身を固くした。
男がさくらの目の前に迫る。
(取った!!)
その顔は勝利を確信したように笑っていた。
「さくらっ!」
昴の声が聞こえ、男の攻撃がさくらに当たる直前で止まる。
昴がこちらに向かって走ってくる姿が見えた。
「チッ! 騒ぎになると面倒だ…」
男は後ろ向きに数歩下がると、舌打ちをして足早にその場を去った。
さくらは左腕を押さえ、その場にペタリと座り込む。
「さくら! 大丈夫ですか?!」
昴が駆け寄り、膝をついてさくらの顔を覗き込んだ。
「だ、大丈夫…腕…殴られたけど…骨は折れて…ない…」
はぁはぁと息を切らし、真っ青な顔をしている。
「とにかく…帰って手当をしましょう」
昴はさくらを立たせると体を支え、その場を後にした。
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aki(プロフ) - レムさん» ありがとうございます!レムさんも色々な方のお話をたくさん読んで研究すれば、きっと書けますよ。 (2021年4月4日 17時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
レム - akiさん» とても作品上手です・・ (2021年4月4日 16時) (レス) id: 59a18b3b65 (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - はちみつさん» はちみつさん!いつもありがとうございます♪続編はちょっとドキドキがあるかも…です(笑)私も気合い入れて書きました。お楽しみに〜! (2021年3月17日 16時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - レムさん» 劇場版をどう書くかは色々方法が有ると思います。私は純黒のその後ーという形で使いましたし、他の方のを拝読すると、劇場版の物語に上手くご自身のキャラを織り込んだ小説も有りました。是非上手な方の小説を読んで手法を真似てみるのも良いと思いますよ。 (2021年3月17日 16時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ(プロフ) - いつもワクワクするお話ありがとうございます!!続編も変わらず応援しています!! (2021年3月17日 13時) (レス) id: 47bbcb1aa7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:aki | 作成日時:2021年1月27日 10時