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博士の発明品2 ページ20

 「分かりました。その条件で飲みましょう。
あなたの腕時計にGPSを付けさせてもらいます。
さらにあなたのバイタルもこちらで把握できるようにしておきます。良いですね?」
「ええ。それなら大丈夫」
お互い妥協点を見出し、りおはホッとした表情になる。
昴も不安材料が減り、胸を撫で下ろした。
(あとは犯人の正体を暴くだけ…。
だが…なかなかしっぽを出さない。どうしたものか…)

 昴は今までの経緯を含め、安室に連絡を入れることにした。



 その日の深夜———

 バーボンはジンに呼び出され、組織のアジトに来ていた。
ジンの部屋へ入ると、彼はソファーに深く腰掛け、タバコをふかしている。
煙が充満する部屋に入り、バーボンは思わず「ゴホッ」と咳をした。

 「遅い時間に呼び出してすまねぇな、バーボン」
珍しく殊勝な事を言うジンに、バーボンは「いえ」と短く返事をした。

 「ラスティーと…何かあったようですね」
「・・・ベルモット(から)か?」
「ええ」
「チッ! あの女…」
余計な事を言いやがって…とジンが吐き捨てるようにつぶやく。
「ずいぶんとベルモットの怒りをかったようで。普段冷静なあなたが珍しい。
……あなたにとってラスティーは何なのですか?」
以前から気になっていたことをバーボンは訊ねた。

 「さあな。ただ、美しいものは汚したい。そんなところか」
ジンはやや目を細め、面倒くさそうに答えた。

 「ヤツのスキルは組織にとっては必要不可欠。その上あの容姿だ。
どんな任務であろうとヤツはすべてパーフェクトにこなすだろう。
だが、そういうカンペキなヤツほど壊したり汚したりしてみたい……と思うのは、俺だけじゃあないはずだぜ」
タバコの吸い口を噛み潰し、ジンはニヤリと笑う。

 かつて安室も力尽くでさくらを自分の物にしようとしたことがある。
もちろんジンとは違い、壊したり汚したりしたかったわけではない。
純粋に彼女を愛してしまったからだ。

 時に憎むべき相手として。
そして時に負けられないライバルとして。
《赤井秀一》という男から、愛した女を奪ってしまいたかった。

 だが、結果だけ見ればジンの行為と何ら変わりがない。
その事を指摘された気がして安室は奥歯を噛みしめた。

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設定タグ:名探偵コナン , 赤井秀一 , 安室透   
作品ジャンル:アニメ
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aki(プロフ) - レムさん» ありがとうございます!レムさんも色々な方のお話をたくさん読んで研究すれば、きっと書けますよ。 (2021年4月4日 17時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
レム - akiさん» とても作品上手です・・ (2021年4月4日 16時) (レス) id: 59a18b3b65 (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - はちみつさん» はちみつさん!いつもありがとうございます♪続編はちょっとドキドキがあるかも…です(笑)私も気合い入れて書きました。お楽しみに〜! (2021年3月17日 16時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - レムさん» 劇場版をどう書くかは色々方法が有ると思います。私は純黒のその後ーという形で使いましたし、他の方のを拝読すると、劇場版の物語に上手くご自身のキャラを織り込んだ小説も有りました。是非上手な方の小説を読んで手法を真似てみるのも良いと思いますよ。 (2021年3月17日 16時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ(プロフ) - いつもワクワクするお話ありがとうございます!!続編も変わらず応援しています!! (2021年3月17日 13時) (レス) id: 47bbcb1aa7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:aki | 作成日時:2021年1月27日 10時

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