鏡池〜奥社3 ページ45
「さ、先に進みましょうか。奥社までまだありますし」
「そ、そうね」
頬が赤いのは冷たい風のせいか、それとも内からのものか…
二人は頬の熱を冷ますかのように、少し速足で遊歩道を進んだ。
色づいた葉が二人の訪れを歓迎するようにひらひらと舞い落ちる。
時折誰かが鳴らすクマよけの鐘が、カラ〜ンカラ〜ンと響いていた。
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やがて二人は随神門にたどり着く。そこから杉の並木道が続いていた。
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「すごい…。ホント圧巻だね…」
一度晴れた霧が再び立ち込め、整然と並ぶ杉並木と相まって辺りは厳かな雰囲気が漂う。
「ちょっと飛ばし過ぎましたね。疲れていませんか?」
手を繋いだまま昴が問いかける。
「大丈夫…だけど……だんだん…坂が…急に…なってない?」
確かに。進むほどに勾配が急になっているようだ。
「この辺りで一休みしませんか」
「うん…そうだね…」
休憩用に置かれた小さなベンチに腰を下ろす。近くに川が流れており、せせらぎが聞こえてきた。鳥のさえずりも聴こえる。
「水分取りましょうか」
昴がペットボトルを差し出した。
「ありがとう」
礼を言って受け取るとさくらはキャップを回す。
「あ、あれ…開かない…」
疲れが出たのか手に力が入らない。何度かチャレンジしていると、スッとペットボトルを取られた。
「はいどうぞ」
「重ね重ねありがとう」
再びペットボトルを受け取ってゴクリと飲んだ。
「やはりハイペースでしたね…」
昴はさくらの顔を覗き込むと心配そうにつぶやいた。
「まさかここまで体力が落ちているとはね…ごめん。昴さん」
工藤邸で再び暮らすようになって心身の回復を心掛けていたものの、体力の回復はあまり進んでいない。
「ペースを落としてゆっくり景色を楽しみながら行きましょう」
「うん。そうだね」
10分程休んで呼吸が整うと二人は再び歩き出した。
杉並木の中景色を楽しみながら進むと、その先に石段が見える。
「奥社までもうすぐですよ」
二人は石段に足を掛けた。一段一段確実に上っていく。かなりの急勾配なので焦りは禁物。とはいえ心臓破りな石段に、さすがの昴も息が切れ始めた。
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aki(プロフ) - はちみつさん» ありがとうございます!2章ではあんなことこんなこと(///∇///)少なかったですが2.5章は……キャッ♪頑張りたいと思います!4.5章では写真もアップしたい!出来るか心配ですが…。赤井さんのカッコ良くてカワイイシーンをお楽しみに〜! (2020年11月24日 15時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ(プロフ) - 少し遅くなりましたが四章完結おめでとうございます!別サイトの方も拝見させて頂いています。こちらでは描かれていなかった、あんなことやこんなこと///にキュンキュンしながら楽しませて頂いています。4.5章もあの写真の風景がどこに出てくるのか楽しみにしています (2020年11月24日 14時) (レス) id: 47bbcb1aa7 (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - はちみつさん» わぁ嬉しいです!私もこの章を書き始めた時はそこまで詰めてなくて、書いてるうちに繋がって…私も『うわぁぁ』ってなってました(笑)4章もあと数話で完結ですが、その後もちょっとユルい中編〜本編へと続きます!個人サイトにも写真や日記有りますのでそちらもぜひ〜! (2020年11月17日 15時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ(プロフ) - こんにちは!色んなことが繋がっていって、1人でうわぁああ!ってなってます(笑)冴島さんの優しさにも昴さんの優しさにも胸がきゅーってなりますね(涙) (2020年11月17日 14時) (レス) id: 47bbcb1aa7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:aki | 作成日時:2020年10月20日 11時