本当の目的2 ページ4
「と、とにかく亡くなった人物の身元確認と、草壁の所在を明らかにした方が良さそうだ。一連の爆破や予告事件と関係があるかどうか…早急に調べるんだ」
「はッ!」
白鳥警部がそう答えて敬礼をした時、彼の胸元に入ったスマホが着信する。
「あ、失礼します」
そう断りを入れて着信にタップする。
電話口から聞かされた報告に、彼の顔色が変わった。
「?」
「どうしたのかね? 白鳥くん」
電話を切った白鳥警部に目暮警部は不思議そうに問いかけた。
「たった今、梨善町ビルの被害者の身元が分かりました。亡くなったのは…ショッピングモールのマネージャー《草壁康夫》です」
「な、なんだとっ!」
思ってもみなかった人物の名前に、目暮警部はそのまま言葉を失った。
「つ、つまり…今回のビル爆破と、ショッピングモールの爆破は何か繋がっている可能性がある…と言う事か?」
「その可能性が…出てきました」
ふたりはお互いの顔を見たまま押し黙る。
同一犯の可能性。証拠も証言も何一つ得られていないのにも関わらず、突きつけられた現実。二人の間には重い空気だけが流れて行った。
***
翌日
「りお! なんか焦げてるぞ!」
「え…あっ! しまった」
朝食の準備をしていたりおは、焦げた卵焼きを見てため息をついた。
「あ〜あ…焦がしちゃった」
「珍しいな。りおが失敗するなんて。ボーっと考え事でもしていたのか?」
コーヒー豆を挽きながら、赤井はりおに声をかけた。
「う、うん…。なんか…頭にモヤがかかったみたいで。
何か思い出せそうなんだけど…」
りおは両手でこめかみに手を当てると、目を閉じクルクルとマッサージをした。
「無理するな。お前はすぐにそうやって思いつめる…。
体に良くないぞ。昨日だって青い顔して安室くんを心配させたんだろう?」
「あ、そうでした。ごめんなさい」
りおは肩をすくめて謝ると、フライパンから卵焼きを取り出した。
「ちょっと焦がしただけだから、ここだけ取れば大丈夫そう。少し香ばしいにおいがするけど…許してね」
「ああ。問題ないさ」
赤井がりおに微笑みかける。
二人は朝食の準備を再開した。
「そういえば。梨善町ビルの被害者、身元が分かったらしいな」
味噌汁のお椀を置いた赤井がりおに声をかけた。
「うん。そうみたい。公安は知っていたけど…。たぶん《ゼロ》が一課に情報を下ろしたんだよ」
りおは焦げを取った卵焼きを食べながら答えた。
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aki(プロフ) - はちみつさん» ありがとうございます!2章ではあんなことこんなこと(///∇///)少なかったですが2.5章は……キャッ♪頑張りたいと思います!4.5章では写真もアップしたい!出来るか心配ですが…。赤井さんのカッコ良くてカワイイシーンをお楽しみに〜! (2020年11月24日 15時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ(プロフ) - 少し遅くなりましたが四章完結おめでとうございます!別サイトの方も拝見させて頂いています。こちらでは描かれていなかった、あんなことやこんなこと///にキュンキュンしながら楽しませて頂いています。4.5章もあの写真の風景がどこに出てくるのか楽しみにしています (2020年11月24日 14時) (レス) id: 47bbcb1aa7 (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - はちみつさん» わぁ嬉しいです!私もこの章を書き始めた時はそこまで詰めてなくて、書いてるうちに繋がって…私も『うわぁぁ』ってなってました(笑)4章もあと数話で完結ですが、その後もちょっとユルい中編〜本編へと続きます!個人サイトにも写真や日記有りますのでそちらもぜひ〜! (2020年11月17日 15時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ(プロフ) - こんにちは!色んなことが繋がっていって、1人でうわぁああ!ってなってます(笑)冴島さんの優しさにも昴さんの優しさにも胸がきゅーってなりますね(涙) (2020年11月17日 14時) (レス) id: 47bbcb1aa7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:aki | 作成日時:2020年10月20日 11時