共に向かう未来1 ページ30
「昴さん。連れて来てくれてありがとう」
りおは運転する昴に礼を言った。
「いいえ…。二人が抱き合った時はちょっと嫉妬しましたけど」
え〜…親子くらい年が違うのに〜? と、りおは口を尖らせた。
「親子だろうと兄弟だろうと、他の男と目の前で抱き合ってる姿を見れば妬くでしょ、普通」
「昴さんが世良さんと抱き合っても、別に嫉妬しないよ」
「え、しないんですか?」
「しないよ」
「それは真澄が男っぽいから…とか?」
「いや、別に普通に女の子だって思ってるよ」
「じゃあ、何故嫉妬しないんです?」
「妹だからじゃない?」
「ふ〜ん…」
なんだか納得がいかない顔をしているが、もう面倒くさいのでりおはそのまま知らんぷりを決め込んだ。
「でも…結局ペンダントの事とか…何も話に出なかったね…」
父の元同僚の冴島に会えば、ペンダントの事も何か聞けるかもと持ったが、今日の話の中ではそれに結びつく話は何もなかった。
「いつでも聞きに来て良いと言われていますし、あなたの体や心と相談して少しずつ謎を解いていきましょう。慌てる必要はありませんよ」
「うん…そうだね…」
りおは助手席から見える景色を眺めながら答えた。
両親が何者なのか、そして何を追っていたのかは知る事が出来た。そしてそれが今、自分が追っている相手であることも。
しかし、りお自身が両親の事を全て思い出したわけではない。
断片的に思い出した記憶と人から教えられた事実。
まだまだ知らない事や覚えていないことがたくさんある。
それ故に両親がりおに託したであろうものが、何なのかは分からないままだ。
「少しずつですが、PTSDの方も改善しているようですね。過呼吸を起こしても短時間で回復しますし、血を見ても発作を起こさなくなったのは良い傾向です。
このまま改善していけばペンダントの事も近いうちに訊く事が出来るでしょうし、すべての謎が解ける日がきっと来ますよ」
「うん…。そうだね。ありがとう、昴さん」
昴に褒められてりおも嬉しそうな顔をした。
その日の夜
赤井とりおは同じベッドで抱き合っていた。
赤井の胸元に頬を寄せ、りおはまどろんでいる。
「すぐに回復したとはいえ今日も発作を起こしたからな…。体は大丈夫なのか?」
「うん…平気だよ……ん〜…秀一さんの匂いがする…」
りおは赤井に腕枕をしてもらい、ぴったりくっついて気持ち良さそうだ。
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aki(プロフ) - はちみつさん» ありがとうございます!2章ではあんなことこんなこと(///∇///)少なかったですが2.5章は……キャッ♪頑張りたいと思います!4.5章では写真もアップしたい!出来るか心配ですが…。赤井さんのカッコ良くてカワイイシーンをお楽しみに〜! (2020年11月24日 15時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ(プロフ) - 少し遅くなりましたが四章完結おめでとうございます!別サイトの方も拝見させて頂いています。こちらでは描かれていなかった、あんなことやこんなこと///にキュンキュンしながら楽しませて頂いています。4.5章もあの写真の風景がどこに出てくるのか楽しみにしています (2020年11月24日 14時) (レス) id: 47bbcb1aa7 (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - はちみつさん» わぁ嬉しいです!私もこの章を書き始めた時はそこまで詰めてなくて、書いてるうちに繋がって…私も『うわぁぁ』ってなってました(笑)4章もあと数話で完結ですが、その後もちょっとユルい中編〜本編へと続きます!個人サイトにも写真や日記有りますのでそちらもぜひ〜! (2020年11月17日 15時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ(プロフ) - こんにちは!色んなことが繋がっていって、1人でうわぁああ!ってなってます(笑)冴島さんの優しさにも昴さんの優しさにも胸がきゅーってなりますね(涙) (2020年11月17日 14時) (レス) id: 47bbcb1aa7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:aki | 作成日時:2020年10月20日 11時