冴島の告白3 ページ26
「お前の元気な姿が俺は何より嬉しかった。
今でも時々一真の事を思い出すと辛いんだ。そんな時、お前の笑っている写真見ると…元気を貰えた」
写真を手に取り冴島は寂しそうにつぶやいた。
「お前を両親に預けて…一真もルナさんも必死で捜査していた。捜査に行き詰まると、時々お前に会いに行ってたよ。きっとこの写真を眺める俺と、同じ気持ちだったんだと思う。
いつか全部解決して、藍田にもルナさんの両親にも報告して……すべてが済んだら……家族3人で暮らそう。それが一真たちの夢だったから。
もしかしたら…一真の中には事件を解決しないままで、自分だけが幸せになるわけにはいかないって思いがあったのかもしれない。
藍田達を死なせてしまったことに責任を感じていたから」
冴島はそこまで話すと「ふう」と小さく息を吐いた。
りおの顔を見て、「大丈夫か?」と問いかける。
「はい」とりおは答えた。
「一真たちは長い年月をかけて、捜査を続けていた。船の爆破事件がどうやら大きな組織と繋がっていると分かった時、一真はいずれ潜入捜査になると見越して自身の経歴を削除するように俺に依頼してきた。ルナさんの事も出来るだけ消すようにと。
公安にいた俺にとって、それは造作もない事だった。だが情報操作をしていて驚いたんだ。万が一に備えて、一真は自分の両親にもルナさんの素性は明かしていなかったんだ。
そしてその後は、一真と俺の接触も必要最小限にとどめていた。
しかしある日、わずかな気の緩みから…俺は一真と接触した直後に一瞬だけかぶっていた帽子を取り、汗を拭ってしまったんだ。その一瞬を組織の者に見られた。
俺の顔を見たヤツは組織の末端だったが、運悪く俺が以前パクったヤツだった。もちろん、ヤツもすぐには思い出せなかったようだったが…。
だが、正体がバレるのも時間の問題だった。
すぐに一真に連絡した。一真も組織の態度の変化に気付き、ルナさんと組織を離れる相談をしていた。
そんな時、お前が爆弾を仕掛けている男を目撃したんだ」
りおは話を聞いて、黄色い落ち葉が舞う公園の事を思い出していた。
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aki(プロフ) - はちみつさん» ありがとうございます!2章ではあんなことこんなこと(///∇///)少なかったですが2.5章は……キャッ♪頑張りたいと思います!4.5章では写真もアップしたい!出来るか心配ですが…。赤井さんのカッコ良くてカワイイシーンをお楽しみに〜! (2020年11月24日 15時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ(プロフ) - 少し遅くなりましたが四章完結おめでとうございます!別サイトの方も拝見させて頂いています。こちらでは描かれていなかった、あんなことやこんなこと///にキュンキュンしながら楽しませて頂いています。4.5章もあの写真の風景がどこに出てくるのか楽しみにしています (2020年11月24日 14時) (レス) id: 47bbcb1aa7 (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - はちみつさん» わぁ嬉しいです!私もこの章を書き始めた時はそこまで詰めてなくて、書いてるうちに繋がって…私も『うわぁぁ』ってなってました(笑)4章もあと数話で完結ですが、その後もちょっとユルい中編〜本編へと続きます!個人サイトにも写真や日記有りますのでそちらもぜひ〜! (2020年11月17日 15時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ(プロフ) - こんにちは!色んなことが繋がっていって、1人でうわぁああ!ってなってます(笑)冴島さんの優しさにも昴さんの優しさにも胸がきゅーってなりますね(涙) (2020年11月17日 14時) (レス) id: 47bbcb1aa7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:aki | 作成日時:2020年10月20日 11時