冴島の告白1 ページ24
数日後
だいぶ笑顔を見せるようになったりおは、昴に連れられて警察学校へと来ていた。
二人は校長室へと通されると、応接用のソファーに座り校長を待つ。
りおは緊張しているのか、表情が硬い。
やがて部屋のドアが開くと冴島が入ってきた。
二人は立ち上がり、冴島の方へ向くと軽く頭を下げる。
「お待たせしてすまない。仕事をほぼ済ませて来たから今日はゆっくり話せるよ。人払いもしてあるから遠慮はいらない」
冴島は微笑むと「まあ掛けて」と二人に声をかけ、自身も向かいのソファーに座った。
「さて、何から話そうか?」
冴島は優しい笑顔を向けた。
昴は心配そうにりおの顔を見つめる。
「冴島さん。先日お話した通りさくらは…いえ、りおはこの5年間辛い任務に就いています。精神的にかなり追い詰められ、PTSDを発症しています。
徐々に回復してきていますが、内容によってはパニックになるかもしれません。ゆっくり、彼女の様子を見ながら…お話しいただけると助かります」
昴はりおと冴島の顔を交互に見ながら、そう説明した。
話を聞いて冴島も大きく何度か頷く。
りおはゆっくり顔を上げると口を開いた。
「教官…父と母の事を…教えてください」
「ああ、分かった」
冴島は返事をすると、静かに語り始めた。
「お前の父親、広瀬一真と俺は警察学校時代の同期だ。
ほぼ同じ時期に公安に配属された。もう一人同期のヤツがいてな。藍田(あいだ)という男で、そいつは機動捜査隊に配属された。
降谷達ほどではないが俺たち3人も、それなりにやんちゃをしたよ」
昔を懐かしむように冴島は話す。
彼の顔をりおはジッと見つめていた。
「32年前の冬、藍田が突然俺たちに言ったんだ。
『俺、結婚するんだ』と。一真も俺も驚いたよ。一番女と縁遠いって思っていたから。
しかも彼女が妊娠していると聞いて、二度驚かされた。親友のおめでたい話に一真はものすごく喜んでいたよ。
だが藍田のヤツは『仕事が仕事だから式は挙げるけど新婚旅行は行かない』って言い出した。子どもが生まれればしばらく旅行なんて無理だから、嫁さんのためにも行ってこいって俺たちが背中を押したんだ。
その新婚旅行で…藍田も嫁さんも、そしてお腹の子も死んだんだ」
視線を落とし悲しい顔をする冴島を見て、りおは涙を浮かべる。昴はそっとその肩を抱いた。
39人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
aki(プロフ) - はちみつさん» ありがとうございます!2章ではあんなことこんなこと(///∇///)少なかったですが2.5章は……キャッ♪頑張りたいと思います!4.5章では写真もアップしたい!出来るか心配ですが…。赤井さんのカッコ良くてカワイイシーンをお楽しみに〜! (2020年11月24日 15時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ(プロフ) - 少し遅くなりましたが四章完結おめでとうございます!別サイトの方も拝見させて頂いています。こちらでは描かれていなかった、あんなことやこんなこと///にキュンキュンしながら楽しませて頂いています。4.5章もあの写真の風景がどこに出てくるのか楽しみにしています (2020年11月24日 14時) (レス) id: 47bbcb1aa7 (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - はちみつさん» わぁ嬉しいです!私もこの章を書き始めた時はそこまで詰めてなくて、書いてるうちに繋がって…私も『うわぁぁ』ってなってました(笑)4章もあと数話で完結ですが、その後もちょっとユルい中編〜本編へと続きます!個人サイトにも写真や日記有りますのでそちらもぜひ〜! (2020年11月17日 15時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ(プロフ) - こんにちは!色んなことが繋がっていって、1人でうわぁああ!ってなってます(笑)冴島さんの優しさにも昴さんの優しさにも胸がきゅーってなりますね(涙) (2020年11月17日 14時) (レス) id: 47bbcb1aa7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:aki | 作成日時:2020年10月20日 11時