ペリドットとアンバーvol.12【名探偵コナン】【赤井秀一】【沖矢昴】【安室透】

逮捕〜別れ４ ページ20

「そんなに驚くことは無い。寿命だよ。医師からも宣告されてたんだ。これが正真正銘最期の仕事だった。君にまんまとはめられたがね」
口元を真っ赤にしてカーディナルは力なく笑う。
「天罰だよ。今までたくさんの命を奪ってきた。君の両親も…」
「ッ！」

　カーディナルの体を支えるりおの手に力が入る。
「君たち家族の車に取り付けた爆弾は蓮(レン)が…いや君の父親…一真が気付いて外したんだ。
爆破できないと分かって、あとはガソリンタンクを打ち抜くしかないと…。君たち家族が乗った車を3台の車で囲い、退路を断った。私は一番前の車に乗っていた。
まさかあの状況で娘を逃がしていたとは…。さすがだよ、蓮…」

　「……」
カーディナルの突然の告白に、りおは下を向く。
視線を揺らしかなり動揺していた。

　「ッ！！！ ぐぅう…かはっ！！」
ビシャビシャッ！！

　直後にカーディナルは苦しそうに体を丸めると大量に血を吐いた。
「カーディナル！ もうしゃべってはダメ！ 救急車を呼ぶわ！ しっかりして！」
だがりおの制止もきかずカーディナルは話し続ける。


　「君の両親は…警察官として優秀だった。いや優秀過ぎたんだ…。組織から…二人の……蓮とセレナの暗殺指令が…出た時、私は……娘一人残すのは忍びないと…思ったんだ。だから家族全員を狙った。私の身勝手な…思いで君の…命を…。
どうやら失敗した…ようだけど…」
大量に血液を失ったカーディナルの顔色は真っ青だった。
呼吸をするたびに「ひゅーひゅー」と嫌な音がする。
アンバーの瞳は動揺で揺れていた。それをカーディナルはジッと覗き込む様に見つめる。
(セレナと同じ瞳……こんなにそっくりだったのに…気付かなかったとはな…)
カーディナルはフッと笑うと、りおの髪に優しく触れた。
りおがその手を取る。
「カーディナル死なないで。死んではダメ。生きて…生きて罪を償うの。お願い。死なないで！」
りおの悲痛な叫びにカーディナルは悲しそうに微笑む。
それは出来ないんだと無言で伝えていた。

　「フフッ…、ラスティー…そんな顔をしないでおくれ。これでお別れだ…。立派になった娘と会えたよ、と…二人には伝えて…おく…よ」
カーディナルはふわりと優しい笑顔を見せると、そのまま目を閉じる。

ドサッ！

　力の抜けたカーディナルの体が崩れるように倒れた。
「カーディナル！！ カーディナル！！」
りおの叫びが続く。
救急車のサイレンが街の中に響いていた。

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