ペリドットとアンバーvol.12【名探偵コナン】【赤井秀一】【沖矢昴】【安室透】

警視庁潜入２ ページ15

　「安室さん、連日スミマセン。いや〜おかげで元気が出ますよ。応援してくれる人がいるって良いですね…」
嬉しそうな笑顔で高木刑事が礼を言う。
他の刑事たちの顔をほころんでいた。
「それは良かったです。捜査…大変だと思いますが頑張ってくださいね」
サンドイッチの入ったバスケットを受付のカウンターに置くと、安室は一課を後にした。

　エントランスに戻るフリをしながら辺りを見回す。
数人の変装した公安刑事を目視した。
(目つきが鋭すぎて、あれではすぐにバレるぞ)
安室は耳に装着したワイヤレスイヤホンで風見に注意を促す。やれやれと小さくため息をついた。


　人気のないトイレでスーツに着替えたカーディナルは偽造ＩＤカードを首から下げ、警視庁内を歩いていた。
エントランスホールからエレベーターに乗り込む。
上へ向かうエレベーターの扉が閉まった直後、エントランスへと降りてきた別のエレベーターから風見が降りてきた。
(こう人が多くては…。犯人はすでに侵入しているかもしれないのに…)
風見の額から汗が流れ落ちる。
広瀬から伝えられた情報によれば期限は今日。
刻一刻と時間は過ぎていく。
(焦りは禁物だ。相手は殺しのプロ。一目見れば何か感じるはずだ…)
風見は気持ちを落ち着かせるように大きく息を吐く。
辺りに目を配りながら、エントランス内をくまなく歩きまわった。


　カーディナルを乗せたエレベーターはふわりと動きが緩やかになる。
やがてその動きが止まると、音もなく扉が開いた。
「失礼」
目の前にいた数人の横をすり抜け、カーディナルはエレベーターを降りた。
警視総監の部屋があるフロアの1階下である。
「さてと。こいつをセットしなければならんな」
さすがにエントランスの様に人が多くいるフロアではないので、慎重に行動する必要がある。
無論防犯カメラも作動しているはずだ。
カーディナルは事前に調べておいたルートを通り、カメラの死角を突いて、使用頻度の少ない部屋へと侵入した。
そこで今度は清掃員の格好に変装すると、何食わぬ顔でフロア内の清掃をしながら非常階段へと移動した。


　非常階段へとたどり着いたところで、カーディナルはひどいめまいに襲われた。

「ッ！！！」

　片膝をつき、階段の手すりにすがりつく。
「くそッ！ 今ここで倒れるわけにはいかない…」
カーディナルは奥歯を噛みしめた。呼吸が乱れ、手が震える。やっとの思いでスマホを取り出すと電話を掛けた。

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