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明かされる秘密1 ページ11

時計の針はそろそろ11時を指す頃だった。
朝よりは幾分雲が出ているが、天気は良く暖かい。
りおの部屋にも優しい日の光が差し込んでいた。

 
 ベッドサイドでりおの様子を見ていた赤井が、何かに気付いた。
「ッ」
りおの長いまつげがわずかに動く。
「りお?」
赤井は小さな声で名を呼んだ。沈黙が続く。
固唾を飲んで赤井はりおの顔を見つめていた。

 何度かゆっくりと瞬きをすると、りおの視線は声のした方へと動く。
ようやく二人の視線が重なった。
大きな発作だったので昴の姿ではなく変装を解き、赤井の姿でりおが目を覚ますのを待っていた。
だがりおは、ぼんやりと赤井の顔を眺めたままだ。

また声が? 記憶が?

 赤井の不安はピークに達していた。
沈痛な面持ちで、ただ黙ってりおを見つめた。


 長い長い沈黙だった。
「秀一さん」
少し掠れてはいたものの、自分の名を呼んでくれたことにも、そして声が出たことにも安堵した。
「なんだ?」
優しく微笑みかける。思わずその顔にふれた。

 「落ち葉がいっぱいの公園で、私が見たのは爆弾を仕掛けている若き日のカーディナルだった。
彼の仕事を目撃した女の子…。あれは私だった。
私のせいで…両親は…」
全てを言い終わる前に、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちた。
ジェームズが20年もの間隠し続けた真実を……
りおは知ってしまった。

 ジェームズだけではない。当時父親の所属していた公安警察も、その事実を隠した。
りおの祖父母にも『事故』だと嘘を付いて。
もっとも…元交番勤務の警察官だったりおの祖父は、その嘘に気付いてしまったようだが…。
赤井はりおの頬を撫で、涙を拭う。
「泣くな…」
そうつぶやいて、りおにそっと口づけた。

 「りお…。確かに…カーディナルがお前に気付いたことでお前と両親は狙われた。だがそれはキッカケに過ぎないんだ」
 赤井はアンバーの瞳を見つめ、ゆっくりと話しかけた。
「私があそこに居なければ…」
「そうじゃない」
りおの言葉を遮るように首を横に振った。

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設定タグ:名探偵コナン , 赤井秀一 , 安室透   
作品ジャンル:アニメ
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aki(プロフ) - はちみつさん» ありがとうございます!2章ではあんなことこんなこと(///∇///)少なかったですが2.5章は……キャッ♪頑張りたいと思います!4.5章では写真もアップしたい!出来るか心配ですが…。赤井さんのカッコ良くてカワイイシーンをお楽しみに〜! (2020年11月24日 15時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ(プロフ) - 少し遅くなりましたが四章完結おめでとうございます!別サイトの方も拝見させて頂いています。こちらでは描かれていなかった、あんなことやこんなこと///にキュンキュンしながら楽しませて頂いています。4.5章もあの写真の風景がどこに出てくるのか楽しみにしています (2020年11月24日 14時) (レス) id: 47bbcb1aa7 (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - はちみつさん» わぁ嬉しいです!私もこの章を書き始めた時はそこまで詰めてなくて、書いてるうちに繋がって…私も『うわぁぁ』ってなってました(笑)4章もあと数話で完結ですが、その後もちょっとユルい中編〜本編へと続きます!個人サイトにも写真や日記有りますのでそちらもぜひ〜! (2020年11月17日 15時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ(プロフ) - こんにちは!色んなことが繋がっていって、1人でうわぁああ!ってなってます(笑)冴島さんの優しさにも昴さんの優しさにも胸がきゅーってなりますね(涙) (2020年11月17日 14時) (レス) id: 47bbcb1aa7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:aki | 作成日時:2020年10月20日 11時

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