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近くて遠い5 ページ18

 
 ふらふらとおぼつかない足取りで、点滴のスタンドにしがみつくようにして歩いてきたようだった。
降谷の声に赤井も振り向く。
「広瀬! お前3日も昏睡状態だったんだぞ。しかもさっき目を覚ましたばかりだろう!
こんなところまで出て来て…」
そう言いながら降谷はりおに触れようとした。
だが、りおはまっすぐ赤井を見つめ、ふらふらとしながら赤井の元まで進んでいく。

 その様子を見て、降谷はそれ以上言葉をかけることも、ましてや触れることも出来なかった。
カラカラとスタンドの音が響く。


 あと少しで赤井の元にたどりつく―――
その時、ガクッと膝の力が抜け転びそうになった。
「ッ! りおっ!」
赤井が慌てて手を差し伸べ、すんでのところで抱き留めた。
ふわりと赤井の吸っているタバコの香りと、石鹸の香り。
そして赤井自身の優しい香りがりおの鼻をかすめた。
(あ…私…この人を…知ってる…)
直感的に感じた。りおはそのまま体の力を抜き、赤井に身を委ねた。

 「りお?! おい! 大丈夫か?」
突然、りおの体から力が抜けたために、赤井は意識を失ったのかと焦っていた。
そんな赤井の焦りも知らず、りおはゆっくりと顔を上げ、赤井の顔を見た。
キレイなペリドットの瞳。そこには薄らと涙がたまっていた。
そっと手を伸ばしてその涙を拭う。
そのまま赤井の頬を撫でた。
りおの行為に赤井は驚き、目を見開く。

 「ごめんなさい。あなたの事を覚えていなくて。でも、私はあなたを知ってる。
絶対に忘れちゃいけない人だって。なのに…なのに……ごめんなさい」
りおの目にも涙があふれていた。
「お願い…泣かないで。ちゃんと思い出すから。
きっと私にとって、あなたは忘れちゃいけない人なの。必ず思い出すから…。
だから…泣かないで…」
りおは両腕を伸ばして赤井の首にしがみつく。
「りお…っ」
赤井も名を呼びながらりおの体を抱きしめた。

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設定タグ:名探偵コナン , 赤井秀一 , 安室透   
作品ジャンル:アニメ
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aki(プロフ) - タロさん» タロさん、コメありがとうございます! そう言っていただけると励みになります♪嬉しくて小躍りしてます(笑) 長いお話ですが、どうか最後まで楽しんでくださいませ〜! (2022年8月14日 23時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
タロ - 活動していっていただけることを祈っております。 (2022年8月14日 21時) (レス) @page27 id: a474c24b23 (このIDを非表示/違反報告)
タロ - どストライクで一気読みをしております。どうもタロです。赤井さんとりおちゃんのこの先がとても気になり毎この小説を日楽しみに数十話ずつ読んでいます。ささやかではありますがかげながら応援させていただきますので、お方だにきおつけ (2022年8月14日 21時) (レス) @page27 id: a474c24b23 (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - コメントありがとうございます! そしてお帰りなさいませ(笑) 最初から読んでいただいたとの事。1年前の文章は読んでて恥ずかしくなる程下手ですが…。(今もさほど変わっていませんけど…)楽しんで頂けると嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 (2020年7月13日 9時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
セキア(プロフ) - だいぶ前に拝見させていただいたことがあり、続きが出ていることに最近気づきました!!最初から一気に読んでしまいました、素敵な話をありがとうございます!!続きを楽しみにしています^o^ (2020年7月13日 2時) (レス) id: 47f303260b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:aki | 作成日時:2020年5月27日 13時

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