近くて遠い3 ページ16
「いわゆる『解離性健忘症』です。
広瀬さんの場合は、度重なる心的外傷体験が要因です。
治療としては薬を使って記憶を取り戻す手助けをすることで、早期に記憶が戻る場合もあります。
数日で思い出すこともありますし、何年もかかって少しずつ思い出す方もいます」
ドクターの説明を聞き、二人は言葉を失った。
「ど、どれくらいの期間の記憶が…無いのですか?」
ようやく絞り出すように赤井が訊ねた。
「先ほど話した様子だと…7〜8年ほどでしょうか?
『自分は警察学校を卒業したばかりだ』とおっしゃっていましたから」
警察学校を卒業した頃まで記憶が無いとすれば、りおに赤井の記憶は全く残っていないことになる。
あまりにショッキングな現実に赤井は声も出ない。
イスに座ったまま動けなくなってしまった彼に、降谷はかける言葉が見つからなかった。
「まずはお会いになってみてください」
そうドクターに言われ、赤井は力なく立ち上がる。
二人は病室へと移動した。
コンコン
「どうぞ」
りおの声で返事が返ってきた。
ガラッとドアを開ける。
病室へ二人の男が入ってきたことに、りおは不思議そうな顔を向けた。
りおの話し相手をしていた看護師が、
「じゃあ、私はこれで。何かあればナースコールを押してくださいね」と言い残し、二人に会釈をして病室を出て行った。
部屋には赤井と降谷、そしてりおだけになった。
「あ、あの〜…ふ、降谷先輩…ですよね? どうして私の病室に?」
(警察学校の時から俺を知っていたと言っていたな…)
先輩と呼ばれて、以前K国にバーボンとラスティーとして出国する際、そんな話をしたことを思い出した。
「あ、ああ。君は忘れてしまっているが、今俺は君の上司なんだ」
「あ! す、すみません…。そうみたいですね。私もさっきドクターから聞いたばかりで…」
降谷の言葉を聞いてりおは申し訳なさそうに謝った。
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aki(プロフ) - タロさん» タロさん、コメありがとうございます! そう言っていただけると励みになります♪嬉しくて小躍りしてます(笑) 長いお話ですが、どうか最後まで楽しんでくださいませ〜! (2022年8月14日 23時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
タロ - 活動していっていただけることを祈っております。 (2022年8月14日 21時) (レス) @page27 id: a474c24b23 (このIDを非表示/違反報告)
タロ - どストライクで一気読みをしております。どうもタロです。赤井さんとりおちゃんのこの先がとても気になり毎この小説を日楽しみに数十話ずつ読んでいます。ささやかではありますがかげながら応援させていただきますので、お方だにきおつけ (2022年8月14日 21時) (レス) @page27 id: a474c24b23 (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - コメントありがとうございます! そしてお帰りなさいませ(笑) 最初から読んでいただいたとの事。1年前の文章は読んでて恥ずかしくなる程下手ですが…。(今もさほど変わっていませんけど…)楽しんで頂けると嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 (2020年7月13日 9時) (レス) id: 7b3007e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
セキア(プロフ) - だいぶ前に拝見させていただいたことがあり、続きが出ていることに最近気づきました!!最初から一気に読んでしまいました、素敵な話をありがとうございます!!続きを楽しみにしています^o^ (2020年7月13日 2時) (レス) id: 47f303260b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:aki | 作成日時:2020年5月27日 13時