検索窓
今日:12 hit、昨日:97 hit、合計:493,632 hit

涙そして決意1 ページ40

 「僕、さくらさんの様子を見てくるね」
みんなのコーヒーカップを片付けていた昴に声をかけて、コナンはリビングを出る。

 コンコン

 「さくらさん入るよ〜」
声をかけて客室のドアを開ける。
だがそこにさくらの姿は無かった。
「あれ?トイレかな」
客室を出てトイレにも行ってみたがいない。
「ッ!!」
悪い予感がする。慌てて玄関に行ってみるがさくらの靴が無かった。
「昴さん!! 大変だ!! さくらさんがいない!!」
リビングに向かいながら大声で叫んだ。



ぽつ…ぽつ…ぽつ…

 雨の粒がさくらの着るシャツの色を変える。
上司の口から『エンジェルダスト』というワードを聞いてから記憶が曖昧だ。
ただ苦しくて、苦しくて、どうかなりそうだった。
その後に優しい手が背中をさすってくれた記憶。
生きていると感じる規則正しい鼓動…。
気付いたときには、客室に寝かされていた。
ああ、きっとまた発作を起こしたのだろう。
どれだけ皆に迷惑をかけてしまうのか…。

 もうそろそろ覚悟を決める時なのかもしれない。
私はずっと「死」から逃げてきた。
仲間の死
スコッチの死
ライの死

 それ以外にも多くのターゲットとなった人の死を、間近で見てきた。
悲しくて、切なくて。
またあの時と同じ思いをするんじゃないかと恐怖に怯えていた。
このままじゃ行けないんだ。
今はその思いに突き動かされ、さくらは目的の場所に急いだ。


***

サ———……

 雨足は少しずつ強くなっていく。
雷の音もだんだん近づいて来ていた。
安室はベルモットに会い、今朝コナンから聞いたさくらの様子を伝えた。

 「今年は本当に…こじらせてしまったようね」
ここ何年もさくらの事を間近で見てきた彼女は、ため息をつきながら言った。
「医者に診せなかった私の責任ね」
「え?」
彼女の言葉に安室は一瞬驚いてしまった。
「嫌ねぇ。人をなんだと思っているの」
そういってカップに残った紅茶を一気に飲み干すと、ベルモットはタバコに火をつけた。

 「一度受診したのよ。組織の医療機関にね。
だけど組織のDr.はやっぱりちょっとおかしい人が多くてね」
そういってベルモットは自身の頭を指差す。
「彼女、フラフラになって帰ってきて、しばらく部屋から出て来れなかった。
それっきりそこへは近づかなくなった。
その時に普通の医者に診せていれば、こんな事には…」
ベルモットの顔が曇った。

涙そして決意2→←悪夢のはじまり11



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (112 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
492人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 赤井秀一 , 安室透   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

aki(プロフ) - 明里香さん» ご指摘ありがとうございます。訂正しました。 (7月8日 23時) (レス) id: 30aa1f0c8d (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 限界を迎えて5、麻じゃなくて、朝です。 (7月8日 22時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - 明里香さん» ご指摘ありがとうございます。訂正しました。小説は書いて消しての繰り返しです。全然書けない日もあったり、タイピングが間に合わない程言葉が溢れたり。そういう時に変換ミスが出やすいです。気を付けていますが書くのも校正も1人ですから気付かぬことも多いです。 (7月6日 23時) (レス) id: 30aa1f0c8d (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 運命の再会4、洗出じゃなくて、新出です。何故、一ヶ所だけ誤変換があるのですか。 (7月6日 22時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 運命の再会3、徹じゃなくて、 透です。 (7月6日 22時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:aki | 作成日時:2019年7月17日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。