悪夢のはじまり9 ページ37
*****
さくらはゆっくり考えながら発言した。
「公安のNOCが黒の組織の構成員だと噂になれば、どこの組織も自身の情報が漏れているか警戒するはず。新たな取引にはなかなか手が出せないはずよ」
「ではその取引を足止めすることが公安トップの本当の目的と見て間違いなさそうですね」
昴は全員を見回し、最後にさくらを見て言った。
「その新たな取引って?」
コナンが首をひねる。
「まだわからないわ」
さくらも首を横に振った。
その時さくらのスマホが鳴る。理事官からだった。
「スミマセン」
そう言ってさくらはリビングを出る。
足元が覚束ない様子だったので、昴もさくらの後についていった。
ふたりで客室に入り、さくらはベッドに腰掛けると通話にタップした。
「お待たせしました。広瀬です」
『私だ。森教授から聞いたのだが…。体調を崩しているのか?』
第一声、理事官はさくらに問いかけた。
どうやら阿笠博士が気を使って連絡しておいてくれたらしい。
「はい。でも今は大丈夫です。ご心配をおかけして申し訳ありません」
『そうか…そんな時に悪い情報だ』
一層低い声で言われ、さくらの体は強ばった。
『先日君と降谷くんからもたらされた証拠品の詳細な調査結果が出た。
君からきたシリアルナンバーを調べたところ、ロシア製の銃器だった。
現在出回っている同型の中でも殺傷能力が格段に高いものだ。
そして降谷くんからの麻薬だが…』
そこまで言って管理官が口ごもる。
『エンジェルダストだった』
「ッ!!!」
さくらは息を飲む。ガタガタと震えだした。
「…はっ……はっ…はっ…!」
胸を押さえ、その場にうずくまった。
すぐさま昴がさくらのもとに駆け寄る。
「さくら! さくら! しっかりしろ!」
昴はさくらを抱き起し、自身の口でさくらの口を塞ぐ。
しばらくしてふぅっと少量空気を送ってやった。
「落ち着け。ゆっくり呼吸するんだ。慌てなくていい。…そう。上手だ」
声をかけながら背中をさする。
「はっ…はっ…はぁ……はぁ……」
少しずつさくらの呼吸が整う。
だがさくらの体はガタガタと震えたままだ。
フラッシュバックが起きているのだろう。
昴はさくらの横に座り、その体を抱き寄せる。
さくらの耳が自分の心臓のところに来るように…。
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aki(プロフ) - 明里香さん» ご指摘ありがとうございます。訂正しました。 (7月8日 23時) (レス) id: 30aa1f0c8d (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 限界を迎えて5、麻じゃなくて、朝です。 (7月8日 22時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - 明里香さん» ご指摘ありがとうございます。訂正しました。小説は書いて消しての繰り返しです。全然書けない日もあったり、タイピングが間に合わない程言葉が溢れたり。そういう時に変換ミスが出やすいです。気を付けていますが書くのも校正も1人ですから気付かぬことも多いです。 (7月6日 23時) (レス) id: 30aa1f0c8d (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 運命の再会4、洗出じゃなくて、新出です。何故、一ヶ所だけ誤変換があるのですか。 (7月6日 22時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 運命の再会3、徹じゃなくて、 透です。 (7月6日 22時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:aki | 作成日時:2019年7月17日 19時