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幼馴染からの誘いは高校卒業以来の出来事だった。
「Aちゃーん！久しぶりー！」
「ごめん少し遅れて」
「大丈夫大丈夫ー！まだ始めたばっかだからさ。
ね、陣平ちゃん」
萩原の視線の先にはだるそうに煙草を蒸かす男が一人。
(この人も久しぶりだな)
同級生でありながらもそこまで面識のなかった松田にどう挨拶していいかもわからず、小さくを頭を下げる。
彼も不思議そうな顔をして礼を返してきた。
彼らの様子を見るに、高校卒業も交流はあるらしい。
萩原の近況を松田の発言から知ることもあった。
大学進学後、なんとなく気が引けて萩原と連絡を取らないまま。
父伝いに萩原家の状況を聞くだけだった。
萩原も煙草の火をつけ始めたのを見て、つられて胸ポケットからそれを取り出した。
「それ、Aちゃんの親父さんの好きなやつじゃん。
やっぱ家族が吸ってたら多少は影響されるもんだね」
幼馴染は自分と同じく愛煙家と分かり、少し嬉しそうだ。
反対に、
「俺その煙草苦手」
松田は不服そうにこちらを見て、顔を顰めた。
彼の手元の煙草を見て、
「…私もそれ試したけど苦手だったんだよね」
対抗するように言葉を返す。
(久々の再会で何その態度)
少しぴりついた空気をかき消すように、
「そ、そいや、親父から聞いたよ！
Aちゃん警官に受かったんだってなあ！
おめでとう！！
ずっとの親父さんの背中見てきたもんなあ」
手を叩いて、彼は大袈裟に喜んだ。
自分のことのように嬉しがる彼を見て、照れくさくなって目を逸らす。
明るい空気に変わったと思いきや、
「よくそんな態度とれんな、お前」
松田は萩原に乱暴に言う。
煙を一吐きして、
「お前もそうだろうが」
Aに教えるようにして萩原を見た。
一瞬何を言っているのか理解が追い付かなかったが、随分と前に千速に話したことを思い出す。
同様に父から千速が神奈川県警に入庁した話も聞いたような記憶が蘇ってきた。
松田の言葉を受け、萩原は困ったように笑って、無理矢理松田と肩を組んだ。
「俺達、高校卒業して、また同期になるわけだから、
これからもよろしく！」
(俺…達…)
幼馴染は松田とAの顔を交互に見て、歯を見せて笑う。
情報量が多く整理しきれないでいると、
「…そういうことらしいから、よろしく」
松田はAのところにも届いた内定通知の写真を携帯電話で見せてきた。
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作者名：Nattu | 作成日時：2024年2月20日 1時
