道中の会話 ページ7
家から歩く事十数分。
「ったく、ほんとハルには甘いよなあの人」
「はいはい」
例の目的地へと向かう道の途中で、俺は母さんに対する愚痴を延々と兄に零していた。
最も母さんはいつもあの調子な為、行きはこうしてほとんどが俺の愚痴大会になる訳だが。
「俺達の事が心配なんだよ」
そうハル言われてしまえば、流石の俺もぐぬぬと黙るしかない。
おっちょこちょいだが、ハルはこういったフォローは一段と上手く、
「特にAは危なっかしいから」
なんていつも俺の反論しにくい言葉を使っては、最後に必ず俺の頭に手を置き優しく撫でてくるのだ。
確かに俺はハルに比べてよく無茶をするし、時には軽い怪我をする事もあるから、母としても俺の方が心配なんだろう。
そんな母さんの気持ちは理解してるし(顔面偏差値の件は別だが)、実際兄であるハルが弟の俺を守ろうとするのも十分に分かるのだが。
(......恥ずかしい!)
どうにも頭を撫でられるのだけは慣れない。
だってなんなら俺本来十九だし。
ハルと同じで俺も妹を撫でる側だったし。
当時は妹が可愛くてよくしてたけど、案外される側って結構恥ずかしいもんなんだな......。
このいかにも「子供扱い!」って感じが特にむず痒いというかなんというか。
「分かった、分かったから」
今もやっぱり恥ずかしくて、俺は理解したとばかりに頷くと頭にあるハルの手を下ろす。
まぁ前世でも顔面偏差値は重要視されてたし。
スペックの高い兄の方を信用したくなるのもまだ分かる。
でも兄にばかりちょろいってのも弟としては不満だ。
大体あんなキザ発言のどこがーーー、
「でも俺はAの方が優しいし頭もいいし、顔だって凄くかっこいいと思うけど」
「............」
いや別に喜んでないけどね!?
ちょっともときめいてねぇし!!
大体こういうのが将来女を弄ぶ悪い男になるんだからな!騙されたって知らないかんな!!(訳:超嬉しいありがとうもっと褒めて)
「いや......ハルほどじゃないから俺......」
ほらもう俺泣くよ?泣きそうだよ?
ペースが乱れるのでとりあえずハルさんは一度黙ってくださいお願いします。
あと君の方が断然かっこいいです気使わせてすいませんでした。
「さぁ今日も張り切っていこう!!!」
虚しさは切り替えていくスタイル。
いやふっかけたのは俺だけども。
その後歩き続けた事でなんだかんだ目的地に到着し、俺達は他愛もない話をしながらお互いに準備運動を始めるのだった。
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みかん - もう公開はしないのでしょうか…凄く見たい…また公開にするような機会があることを願ってます!非公開にした理由が深いのなら作者様はこのコメント無視して頑張ってください!! (2022年1月9日 12時) (レス) id: bc2584c695 (このIDを非表示/違反報告)
まめ(プロフ) - 素晴らしいの一言に尽きます...素敵な作品で楽しく読ませていただきました。最新頑張ってください。陰ながら応援してます...(´∀`) (2020年10月18日 22時) (レス) id: 000b312b5b (このIDを非表示/違反報告)
三日月 - まだ(# ゚Д゚) (2020年3月10日 17時) (レス) id: 4d4917b86c (このIDを非表示/違反報告)
三日月 - 続きまだ? (2020年2月29日 20時) (レス) id: 4d4917b86c (このIDを非表示/違反報告)
佐藤悠真(プロフ) - 微笑ましいに尽きますね。いつもホワホワしながら読まさせていただいております。更新頑張ってください。楽しみに待ってます。 (2020年2月18日 0時) (レス) id: 44efc3fddb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Syu | 作成日時:2020年1月16日 21時