春秋家 ページ5
最後に俺の家族についてだが、以前に比べて一番変わったのがここだろう。
この世界に来て初めて目を覚ました日に見た美人。
あの美人こそ、他でもない俺の今世での母親だ。
昔は村一番の美人だったらしく、その後今の父と出会いめでたく結婚。
今住んでいるこの地へと越してきたらしい。
『いいか、母さんは昔そりゃあもう美人でーーー』
そんな自慢話を父から何度聞かされた事か。
ちなみにこの話を聞く度俺は「今を褒めてやれよ」と内心思うし、後ろで母が若干青筋を立てている事も知っている。止めないけど。
だがそういった武勇伝をもつ母に対し、一方で謎が多いのがこの父親。
聞く所によると、父は色々な家や町を回り、穴の開いた鍋や釜などを修理する職人らしい。
向かう場所も様々な為、向かったその日に戻る事もあれば中には1ヶ月戻らないなんて事もざらで。
「お父さんは凄い人なのよ」
そう母は誇らしげに笑っていたが、実際それで安定した生活が出来ている以上父はかなり腕の利く職人なんだろう。
父親自身についての情報は少ないが、あと数年もしたら一緒に街へ連れて行ってくれると言うのでそれまでは俺も待つ事にしている。
優しく美人な母に、人当たりのいい腕の立つ父。
どちらも俺の大事な両親であり、そこは以前と大して変わらない。
ならどこが変わったのかというとただ一つ。
「A、そっち終わった?俺も手伝おうか?」
「! ハル」
俺に一つ年の離れた兄が出来たことである。
あの日俺を叩き......いや殴ってきた物騒な子供。
あの子供こそ俺の兄である春秋 遙(ひととせ はるか)、通称ハルだ。
ハルは優しくお人好しで、おまけに顔も良く家族想いという超ハイスペックな春秋家の長男。
俺からすればなんとも羨ましい少年漫画の主人公みたいな奴である。
現に今だって、弟の俺にこれ以上の仕事をさせる気は無いらしい。
「手伝わせてよ。その方が早く終わるだろ?」
なんてイケメンがイケメンみたいな台詞を言うもんだから、俺はその都度「お構いなく!」と助けを断っている。
その度しゅん.....と落ち込まれるのだが、こちらとしても兄にばかり仕事を任せてはいられないのだ。
いや別になんか負けた気がするからとか、あの殴られた件を根に持ってるとかそういうんじゃないよ?ホントソンナンジャナイ。
その証拠にほら。
「やっぱやるって.....うわっ!」
「げっ!」
ほらな?
おっちょこちょいなハルに任せると大抵ろくな事にならないんだ。
394人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みかん - もう公開はしないのでしょうか…凄く見たい…また公開にするような機会があることを願ってます!非公開にした理由が深いのなら作者様はこのコメント無視して頑張ってください!! (2022年1月9日 12時) (レス) id: bc2584c695 (このIDを非表示/違反報告)
まめ(プロフ) - 素晴らしいの一言に尽きます...素敵な作品で楽しく読ませていただきました。最新頑張ってください。陰ながら応援してます...(´∀`) (2020年10月18日 22時) (レス) id: 000b312b5b (このIDを非表示/違反報告)
三日月 - まだ(# ゚Д゚) (2020年3月10日 17時) (レス) id: 4d4917b86c (このIDを非表示/違反報告)
三日月 - 続きまだ? (2020年2月29日 20時) (レス) id: 4d4917b86c (このIDを非表示/違反報告)
佐藤悠真(プロフ) - 微笑ましいに尽きますね。いつもホワホワしながら読まさせていただいております。更新頑張ってください。楽しみに待ってます。 (2020年2月18日 0時) (レス) id: 44efc3fddb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Syu | 作成日時:2020年1月16日 21時