Graduate(短編) (ページ13)

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桜の木 N.K ページ13

私には行きつけの美容室がある。

『あ、Aさん。こんにちは。』

「こんにちは、小瀧さん。」

ここで働いてる小瀧さん、私の担当の人。

『今日はカットですか？それともパーマですか？』

「んー、切った方が良いですかね？」

『俺はこのままの長さで、ちょっと梳いてパーマ当てる方が可愛いと思いますよ』

「…じゃあそれでお願いします。」

小瀧さんに可愛いって言われちゃった…。

『今日はどうなんですか？』

「はい？」

『彼氏さんと会うんですか？』

「違いますよ！…彼氏もいないですし。」

『え、彼氏いないんですか！？』

「そんな大声で言わないで下さい…！」

『じゃあ、俺、彼氏候補になっても良いですか？』

「はい！？」

『と、言ってもここでしか会えないんで、来てくださいね。
まぁ、来てもらうためにパーマかけたんやけど。』

「わ、私、小瀧さんより5つも上ですよ？」

『俺の姉ちゃん7つ上なんで大丈夫です。』

1週間後。

『こんにちは、Aさん。』

「小瀧さん、こんにちは。』

『今日はメンテナンスですね。』

『もう、桜の季節ですね。』

「そうですね。」

『俺の家の近くに、きれいな桜があるんですよ。
一緒に見ません？』

「…良いですよ？」

『じゃあ来週！空いてます？』

「はい。わかりました。」

予定日前夜

「あ、小瀧さん。」

仕事終わりかな？と思い声を掛けようとすると、

〈望～！〉

ぎゅっ。

『はいはい、どしたの？』

〈仕事早く終わったから会いに来ちゃった♡
ご飯行こ。〉

『ええよ、俺もちょうど仕事終わったし。』

…彼女いるんじゃん。

私よりきれいで大人な人。

ちょっとでも小瀧さんの事良いなって思ってた私がバカだった。

私は結局、小瀧さんとの予定をすっぽかした。