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『国見〜、おつかれちゃーん』
その後及川先輩と別れ、試合終わりの国見に駆け寄った。
「はー、今日もうムリ。帰る」
『じゃー私も帰る！』
「Aまだ試合あんじゃん」
『全然いーよ、補欠だし』
「不真面目かよ」
またまたー。そんな私と知ってなんだかんだ一緒にいてくれるんだよね、国見は。
ニヤニヤしながら国見の隣を歩けば、気持ち悪いと言われた。
「……てかさっき何で及川さんといたの」
『あぁ。なんか声かけられた』
うん、全然間違ってない。
別に約束してたわけでもなくて、ほんとに偶然だもん。
「……ふーん」
『えーなに？聞いといてその反応』
「及川さんと何話したの？」
『何ってただの世間話、』
「世間話？それであんなに距離近いの？」
『え、急にどうしたのさ国見。なんか変だよ？』
畳み掛けるように話す国見は、明らかにいつもと様子が違う。
「……っ、別に。何でもない」
そう言って俯く国見は、誰がどう見ても不機嫌で。やばい、この空気嫌だな、と思った私がどうにかしようと模索したとき。
「ねぇ」
『ん？』
「………これからどっか行く？」
……………え、今なんて。
『？？？』
「……っ、これからどっかでかけようか、って聞いてんだよ耳大丈夫？」
幻聴ではなかった。
あの国見が私にそんなことを言うなんて。
天地がひっくり返っても考えられない。
でもこれは、二つ返事しかないよね？
『行く！行きます！！』
嬉しくなった私は、勢い余って国見の腕にがっしりとしがみつく。
いつもならそのまま振り払われそうなものを、今日はそんなことされなくて。
「……暑いバカ」
『照れんなよー』
暑い、なんて言葉で交わすんだ。
ほんと、可愛いよね。
好き、大好き。
調子に乗った私は、「国見ん家に行きたい、おうちデートしたい！」なんて言えば、絶対に嫌だと言われてしまった。
あーあ、家で色んなことができるまで、あと少しだったのにな？
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作者名：蜜柑 | 作成日時：2021年7月6日 10時
