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.side▶hanamaki
余計なことを言ったかもしれない。
なにドラマみたいなこと言ってんだよ、マジで。
というか、今のはちょっと狡かった。
あいつがいない隙に、なんてフェアじゃない。
けどAを自分のものにしておいて、平気でほったらかしにしてる及川に腹が立つのも事実だった。
卒業前に付き合い始めた及川とA。
当時は、まさかあのAがなぁ、とは思ったけれど、何となくそうなることを予想していた俺は存外驚くこともなかった。
悔しさがなかったわけではない、けれどAの気持ちがいずれ及川に向くのを、自分はどこかでわかっていた。
だったら俺にできるのはもう、これしかない。
今までもこれからも、Aの一番の見方は自分であると、心に決めて。
結局、Aを幸せにするのは及川だけなんだろうなぁと、腹を括った。
それなのに、最近のAはどことなく上の空で、覇気がない。
元々特別な元気な奴でもなかったけど、そういうことじゃなくてさ。
及川、お前はすげーよ？すげえけど、これはちょっと酷くねぇの。
Aは大丈夫だって気にしないフリしてるけど、絶対そんなわけがない。
平気だって言ってるのは、多分本人も気づいていないから。
ああ見えてAは、ちゃんと及川が好きなんだと思う。
あいつから音沙汰無いのも、気にしないわけがない。
それなのに、結局Aの中にいるのは及川で。
ちょっと、というかかなり。
面白くない。
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作者名：蜜柑 | 作成日時：2021年6月16日 18時
