青春マイスター【及川徹】

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最近、隣の席の女子が気になる。


梨木Aちゃんていって、どっちかと言うとクールビューティって感じの子。


俺が話しかけるといつも迷惑そうにする。
最初に挨拶した時から、あ、俺この子に好かれてないなって悟った。


女の子はみーんな俺のことが好きなのに、梨木さんだけ珍しいなって思った。
気になった要因はまあそんなところ。


断じて俺はマゾじゃないけどね？


まぁ、適当とはいえ何かしらの反応を示してくれるだけ、死ぬほど嫌われてるってわけでもなさそう。


どうせなら仲良くやりたいんだけどな。一応隣だしその方がいいでしょ。


と、そこでばちっと梨木さんの視線が俺に焦点を当てた。
やば、見すぎたかな、俺。



『及川』


「な、なに？」


『さっきからぶつくさ独り言いっててキモイんだけど。気になるから止めてくんない？』


「……は？え！？」


『…………………もしかして認知症、なの？』



嘘でしょ……。
俺、めっちゃ気色悪いじゃん。
引かれたよね、引かれたに決まってるよね？



「何言ってたか聞こえた…………？」


『いやそこまでは。まぁでも、大変だね………。まだ若いのに』



良かった、内容まではバレてない。
って違う違う！！



「違うよ！？俺認知症じゃないから！病気じゃないから！！」



必死に否定する俺に、梨木さんは今まで見たことないくらい飛び切りの哀れんだ目で、ご愁傷様です、とだけ言った。


まずい、完全に気味悪がられてる。
ただでさえよく思われてないっぽいのに、今以上に印象悪くしてどうすんだよ、俺。


梨木さんの冷めた瞳が妙に心にぶっ刺さってる。


てか、最近の自分この子のことばっか気にしてるな。自分らしくない、ほんとに。





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