上善水の如し［ONE PIECE］ (ページ25)

今日:2 hit、昨日:4 hit、合計:75,685 hit

第22話ページ25

少々雑だが弟に別れを告げ、再び走って街に戻る。

まだどこかにドラゴンがいるはずだ。

会って何をしよう、などは何も考えていなかったが、とにかくもう一度会わなければという思いでいっぱいだった。

脇目も振らず走っていると、ドスン、と誰かにぶつかり、私は尻餅をついた。

間一髪で体を捩ったため、相手にそこまで衝撃はいってないはず。

「………いってて……すみません。大丈夫でしたか…？」

そう言って上を見上げる。

「……！？」

大変なことになった。

私がぶつかったのは

…………ドラゴンその人だったのだ。

探す手間が省けた。

何か言わなければと頭を働かせるが、上手く言葉として声に出来ない。

「……あ」

「私は大丈夫だ。お前こそ大丈夫か？」

そう言って手を差し出すドラゴン(父)に戸惑いつつも、取り敢えず返事はする。

「だ、大丈夫……」

父から差し出された手を振り払うことも出来ず、その手に捕まって立ち上がる。

「そうか。なら良い」

そう言ってドラゴンは私が来た道を歩き出した。

待って。

そう言いたかったが、どうしても口に出せない。

政府から授かった任務があるにも関わらず、その場から動くことが出来なかった。

しかしそれでも何か言わなければと考え、振り絞って声を出す。

「……父さん！ありがとう！！」

ふと気づけばそんなことを言っていた。

自分でも何故そう言ったのか分からなかった。

ドラゴンは振り返らなかったが、不思議と私は満たされた気持ちになっていた。

ぼうっと道の中央で、その影が人混みの中に消えるのを見ていると、後ろから声をかけられる。

「A、こんなところにいたか…」

「あっ…スモーカー………」

スモーカーはまさに鬼の形相。

目で人を殺しそうな雰囲気を醸し出している。

「麦わらはどうした」

「ルフィならさっき出港したよ」

「捕まえなかったのか？」

「管轄外なんで…」

本当は海軍の援護も仕事の１つだが、重要でもないので勝手に言い訳を作る。

「チッ……おい、俺たちも後を追うぞ」

スモーカーは部下に、出港の準備をするよう指示する。

「ちょっと、それこそ管轄外でしょ？勝手にそんなことしたら……」

「うるせぇ。上官の指図なんて俺は受けない」

「よし！なら行ってこい！！」

「「えええええええええ！？！？！？」