上善水の如し［ONE PIECE］ (ページ2)

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第1話ページ2

主人公side

爽やかな風が白い帆を撫でるように過ぎていく。

穏やかな天気の中、つんとした潮の匂いが香っている。

「下等官、新しい手配書が出ていますよ」

「なんでも初めての懸賞金で3000万かけられた海賊がいるそうで」

この大航海時代、うじゃうじゃと蟻の如くいる海賊たちの中でも、初めから1000万超えの賞金首になる奴はごく稀だ。

「へー…面白いじゃん。名前なんて言うの？」

「あ、はい。麦わら海賊団船長、
モンキー・D・ルフィでs…」

「ぶーーーっっっ！！！！」

「「下等官！？！？」」

おいおいおい待て待て待て。
…いや、聞き間違いの可能性も…
ここは一旦落ち着こう。

「ごめんなんでもない。もう一回言って？」

「モンキー・D・ルフィです」

「ぐはっっっ」

「「下等官ー！！！」」

全然全く聞き間違いじゃなかった。

この世にモンキー・D・ルフィなんて名前が2人もいるとは思っていない。

水士から手配書を奪うように取ると、
そこに写っている見慣れた顔をまじまじと見つめた。

「ルフィ…」

血を分けた大切な弟が笑っている。

「下等官のお知り合いですか？」

「お知り合いも何も…姉弟だよ…」

「「きょっ、姉弟ーっ！？」」

「海賊になるって常日頃言ってたのは覚えてるけど、まさかこんなことになってるとは…あの弱虫が…」

((3000万超えの海賊を弱虫呼び…))

エースが白ひげ海賊団に入ったという一報を受けたのも最近だ。

それが今度はルフィ。

「じいちゃんはどんな心境なんだろうな…」

こうして兄弟共々海賊となってしまった今、私と2人は敵同士だ。

…それなのに自然と笑みが溢れる。

弟の成長(？)を嬉しく感じるのはやはり姉だからだ。

「…ふふ。」

ルフィ、この偉大なる航路(グランドライン)の何処かで会えることを楽しみにしているよ。

((下等官の情緒が不安定だ…))

ーこれはとある少女を中心とした物語。