ある意味奇跡3

崩落 ページ41

走れ



走れ



どんなに身体が思うように動かなくっても

じっとなんてしていられない！！



「ユリウス様！！」



目に写った光景は



リヒトがユリウス様を突き刺している


「…………う…………そ……」

ユリウス様はそのまま地面に倒れていく



「やぁ、君から来ると思わなかったよ」

「……リヒト……」



目の前の光景が信じられず呆然と佇む




「……何してやがる……

…………ヴァンジャンス！」

同時に着いたヤミ様が怒鳴っている


よく見たら服は金色の夜明団
すぐそばには特徴的な仮面が置いてある



ウィリアム・ヴァンジャンス！？



「ごきげんよう、ヤミ・スケヒロ
私はリヒトだ
ウィリアムなら眠っているよ」


「ああ？喧嘩売ってんのか」


2人の声が遠くに聞こえる
眠ってる？1つの体に２つの精神があるの？


頭がおかしくなりそう



信じたくない


嘘だ

あのユリウス様が負けるなんて…………

「何してやがる！！マルクス！！A！！」

「…………！！」

「治療だ！！オーウェンのおっさん呼んでこい！！
A！！応急処置しろ！！」

「は…………はい！！」

「もう遅い

この男は死ぬ

最後までこの国の人間を護り抜いた
敬意を表するよ
魔法帝ユリウス・ノヴァクロノ

だが…………」

「リヒト様！！」

敵が空間魔法で現れる

逃げられる！？

「我々とお前たちがわかりあうことは


二度とない

あとで迎えにいくよ…………A」



闇魔法 次元斬り


ヤミ様の魔法が出るが、一歩届かなかった

「…………ちっ…………」



「……ヤミ様…ユリウス様が」
「ユリウスのダンナ……しっかりしろ！！」

「……ヤ……ミ……さっきの魔法すごいね
空間を斬るなんて」
「んなこと言ってる場合かよ……」

「本当に凄い魔法騎士になったんだね」
「だからもう28だって言ってんだろ
もうガキじゃねぇんだ」

「頼もしいね
次の世代がしっかり育ち
さらに次の世代が芽生えてる

私の想いは次代の魔法騎士達へと続いている」




わたしには持たなかった想い
願うこともしようとしなくなった未来




「私が目指したもの
つくろうとした未来は…そう遠くないと信じているよ


差別や憎しみのない国を

大丈夫だよ、A



君の望んだ世界はちゃんと近づいてる」






望みながらも信じることさえしなかった




何もしなかった自分をここまで後悔するとは思わなかった

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