ある意味奇跡 (ページ50)

今日:10 hit、昨日:13 hit、合計:141,344 hit

一寸先は闇ページ50

エミル視点

手応えはある

ようやく目障りなAの上に行ける

「ノゼル様はお休みの日は何をされていらっしゃるんですか？」

今日はあのノゼル様とお茶だ

たまに誘っては一緒に過ごしている

相変わらず素っ気ないけど、まぁそれがこの方だから仕方ないわ

政略結婚なんて所詮そんなものだから
結婚するまではこうよね

「………お前はAと同じアカデミーだったようだな」

驚いた

何であの女の話が出るの

「はい、同じでしたよ………何かAのことでございましたか？」

「あれはアカデミーのころはどうだったんだ？」

……どういう意味？
それは成績のこと？

「………昔からすごく優秀でしたよ
何をやっても首席でした」

とりあえず無難に返す

「そうではない。あいつの振る舞いに関してだ」

こういうってことはAはノゼル様に本性を見せたってことかしら

なるほどね、だから私が抜擢されたってこと

「少し変わっているのは昔からですよ」

貴族嫌い、徹底的な実力主義
高飛車な貴族たちはことごとく叩き潰された

「………そうではない…………がもういい」

？？

ノゼル様は何が言いたかったのかしら
聞き返すことはできなかった

「何なのよ、一体」

別れた後口から溢れる

そういうことじゃないってどういうこと？
真意が見えない

本当に忌々しい女

「エミル、今帰り？」

あいつだ
薄く微笑んで問いかけられる

「ええ、そうよ。ノゼル様とお茶していたのよ

どんな気分？
格下だと思っていた相手に蹴落とされそうになるのは」

「………………」

珍しく何も言わない

ふふっ

「A様、何を話されていらっしゃるですか？」

声をかけられる
魔法騎士団だ

後ろにニベルもいる

「エミル嬢ですね」

こちらを見られる

挨拶をしようとすると、

「最近出入りが多いですね」

「たいそうご機嫌ですね

卑怯な手を使ってまで人の幸せを奪うことがお好きなようだ」

冷たく言い放たれる

そのまま私の前を去っていった

残ったニベルが何とも言えない顔をしている

言葉がない
何でここまで嫌悪されるの？
何故？

何故？？

「面白いものね。貴方はいつも周りを味方にするのに。

残念、随分嫌われちゃいましたーー」

Aは無邪気に笑う

背筋が凍る
この女は全てを仕組んでいたんだ
全てこの女の考え通りに事は進んでいた

私はこの女の本当の恐ろしさを知らなかったんだ